NPB最高右腕が、まさかの大乱調だ。

 3月21日、ロサンゼルス・ドジャースは韓国・ソウルでサンディエゴ・パドレスとMLB開幕シリーズ第2戦を戦っている。先発には昨年オフ、オリックスからポスティングシステムを利用して新加入した山本由伸がメジャー初登板を果たすも、なんと初回だけで5失点を喫する苦しい船出となった。

 真新しい背番号18のユニホームを着た日本人右腕が、いきなりメジャーの洗礼を浴びた。

 山本は先頭打者のザンダー・ボガーツにいきなりヒットで出塁を許すと、次打者のフェルナンド・タティースJr.にはスプリットが抜けて死球。無死一、二塁とピンチに陥ると、3番ジェイク・クローネンワースには甘く入った2球目のスプリットを右翼線に運ばれる適時打で、わずか9球で2点を失った。

 なおも沢村賞右腕の苦難は続く。ストライクとボールがはっきり分かるほどコントロールに苦しみ、4番のマニー・マチャドを結局四球で歩かせ、続くキム・ハソンには中犠飛を許し、もう1点を献上。1死二塁となり、6番のジュリクソン・プロファーをカットボールで空振りにし、この試合初めて三振を奪ったが7番ルイス・キャンプサーノには三塁線を破る適時二塁打、続く打者にもタイムリーヒットを打たれ、さらに失点を重ねた。

 9番のジャクソン・メリルを抑えなければ打者一巡だったが、山本はカウント2-2と追い込むと最後はカーブで三振に斬って取り、ようやく3アウト。初回だけで43球を投じる苦しい立ち上がりにデーブ・ロバーツ監督は投手交代を即決。日本人ルーキーはベンチで監督から直々に次戦に向けた労いの言葉をかけられると、2回のマウンドにその姿はなかった。
  初回5失点で交代した山本の無残な姿には、ライブ中継しているテレビ朝日で解説を務めている松坂大輔氏も唖然とした。

 ボストン・レッドソックスやニューヨーク・メッツでMLB通算56勝を挙げている同氏は日本人右腕の思いがけない乱調について「あまり見ない。珍しいですね」と漏らし、山本が猛攻を浴びている場面には「使いやすいボールを早く見つけることですね」と元メジャーリーガーとしてアドバイス。変化球の制球に苦しんでいる姿を察すると、「ストレートで押してもいいかな」と見解を述べた。

 同じく解説者の古田敦也氏は「スプリットがあそこまで抜けるとはね」と2点先制の場面を指摘。カウントが取れる球種が少なく、「(今日は)コントロールができていなかった。こんなにストライクとボールがはっきり分かるほど、彼が操れてないのは初めて見ますね」と話し、NPBで無双していた時代と雲泥の差に愕然とした。

 なお試合は序盤から予想もしない乱打戦になっており、4回表を終わり9-6とパドレスが3点リード。「2番・指名打者」で先発出場している大谷翔平はここまで2打数1安打で、2回にホームラン性の飛球を放つが打球は惜しくもスタンド前で失速。しかし右犠飛で1打点を挙げている。

構成●THE DIGEST編集部

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