現在開催中の男子テニスツアー「バルセロナ・オープン」(4月15日〜21日/スペイン・バルセロナ/クレーコート/ATP500)は現地16日にシングルス1回戦が行なわれ、左足のケガで戦列を離れていた元世界1位のラファエル・ナダル(スペイン/現644位)が約3カ月ぶりにツアーに復帰。世界62位のフラビオ・コボッリ(イタリア)に6-2、6-3のストレートで快勝し、見事復帰戦を白星で飾った。

 年明けの「ブリスベン国際」(ATP250)の準々決勝で左足上部を負傷して以降、ツアーではプレーしていなかった37歳のレジェンドが公式戦のコートに帰ってきた。ナダルがクレーの大会に出場するのは14度目の優勝ならびに四大大会22勝目を飾った2022年全仏オープン決勝以来約2年ぶり。過去12度タイトルを獲得しているバルセロナで迎えた復帰戦では、ブランクを感じさせないパフォーマンスで会場を埋め尽くしたファンを大いに沸かせた。

 序盤こそ硬さが見られたものの徐々にリズムをつかんでいったナダルは、ベースラインからの攻撃的なテニスで相手を押し込み、第4ゲームで先にブレークに成功。終盤の第8ゲームでもコボッリのサービスを破り、幸先よく第1セットを先取した。
  第2セットに入ってもナダルの勢いは衰えなかった。得意のグラウンドストロークや巧みなドロップショット、ベースライン後方での粘り強いディフェンスなど多彩なプレーで相手を翻弄。第2、第4ゲームでブレークを奪い、1時間25分で勝利を収めた。

 自身のファーストサービスでは78%、リターンゲームでは相手のセカンドサービスで64%のポイント獲得率をマークするなど、終始試合をコントロールしたナダル。クレー通算475勝目を挙げた赤土の王者はオンコートインタビューで、これまでに何度も経験しているツアー復帰の難しさを語りつつ、次のように喜びを表現した。

「復帰の回数を重ねるごとに、特に高齢になると、物事はさらに難しくなる。僕は厳しい瞬間を(何度も)経験しているが、同時にツアーに数日間参加して選手たちと練習し、その後少しだけでも試合に出場できるようになることは、僕にとって大きな意味がある。まだまだ楽しさを見出せているから続けられる。間違いなく勝利で再スタートを切ることができてうれしいよ」

 勝ったナダルは2回戦で今季22勝7敗と好調のアレックス・デミノー(オーストラリア/11位)と対戦する。次戦もクレーキングの奮闘を期待したい。

文●中村光佑

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