約3カ月ぶりのツアー復帰を果たした男子テニス元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現644位)が、現地4月17日に行なわれた「バルセロナ・オープン」(4月15日〜21日/スペイン・バルセロナ/クレーコート/ATP500)のシングルス2回戦に登場。第4シードのアレックス・デミノー(オーストラリア/同11位)に5-7、1-6のストレートで敗れ、3回戦進出はならなかった。

 年明けの「ブリスベン国際」(ATP250)の準々決勝で左足上部を負傷して以降、ツアーではプレーしていなかったナダル。復帰戦となった現地16日の1回戦では21歳のフラビオ・コボッリ(イタリア/62位)を相手にブランクを感じさせないプレーを披露し、6-2、6-3のストレートで初戦を突破していた。

 しかし今季22勝7敗と好調のデミノーとの注目の対決となった2回戦では、相手の粘り強いプレーに終始苦戦。第1セットを接戦の末に落とすと、第2セットに入ってからも得意のストローク戦で打ち負ける場面が目立ち、第2ゲームから6ゲーム連取を許して勝負あり。1時間52分で敗退となった。

 それでも37歳の鉄人は過去12度の優勝を誇る思い出のバルセロナで、母国ファンの大声援を背にプレーできたことを何よりもうれしく思っているという。試合後のオンコートインタビューで、ナダルは自身が今季限りでの現役引退を示唆していることを踏まえ、次のようにコメントした。
 「少なくとも僕はここ(バルセロナ)のコートで別れを告げる機会を得ることができたわけだ。それは僕にとって大きな意味がある。なぜなら、1週間前はこの大会でプレーできないと思っていたからだ。仮にそうだったら苦い経験になっていただろう」

 一方でナダルは実際にプレーしてみると思いのほか感覚が良かったと言い、状況次第では現役を続行する意欲も見せている。今大会のパフォーマンスを振り返りながら前向きな言葉をこう続けた。

「1週間前よりもずっと快適で幸せも感じている。素晴らしい選手と対戦して、何とか2試合を戦い切ることができた。間違いなくそれほど悪くはなかった。あまり練習はしなかったから、今大会でのパフォーマンスはプレーを継続していくための励みになった。ツアーで何日も過ごし、選手たちと一緒に練習を続けることができれば、競争力を維持できると心から期待しているし、そう信じてもいる。僕の身体が必要な道を進むことを許してくれる必要はあるけどね」

 最後には自身が14度もの優勝を経験している「全仏オープン」(5月26日〜6月9日/フランス・パリ)の出場に向けて調整を進めたいとコメント。「競争力のある状態に持っていきたい。数週間以内にはそうなると信じている。現状ではそれが僕の進むべき道だ。少なくともローランギャロス(全仏)でプレーするための準備を整えるチャンスを、自分自身に与える必要がある」と締めくくった。

文●中村光佑

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