現地時間4月20日(日本時間21日、日付は以下同)に幕を開けたNBAプレーオフ2024。ニューヨーク・ニックスとのイースタン・カンファレンス・ファーストラウンド第1戦、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは敵地マディソン・スクエア・ガーデンへ乗り込み、ジョエル・エンビードが第1クォーターだけで15得点を奪って34−25と主導権を握った。

 ところが、続く第2クォーターは12−33と失速。ニックスはベンチスタートのマイルズ・マクブライドがこの12分間で両チーム最多の13得点を奪うなど、ベンチ陣が活躍してリズムを掴んだ。

 シクサーズは第4クォーター残り2分18秒、タイリース・マキシーの長距離砲で3点差に詰めるも、そこからジョシュ・ハート、OG・アヌノビーの3ポイントを浴びてしまい、最終スコア104−111で敗戦。

 ニックスはジェイレン・ブランソンが22得点、7リバウンド、7アシスト、ハートが22得点、13リバウンド、アヌノビーが11得点、4リバウンドをマークしたのだが、ベンチ陣の活躍なしに勝利はあり得なかった。
  というのも、この試合でマクブライドが5本の3ポイント成功を含む21得点に4アシスト、ボーヤン・ボグダノビッチが13得点、7リバウンド、ミッチェル・ロビンソンが8得点、12リバウンド、4ブロックとセカンドユニットが大活躍。

 出場時間帯の得失点差でも、マクブライドが両チーム最多の+37、ボグダノビッチが+27、ロビンソンも+20とその効果は絶大で、チームに貴重な1勝をもたらした。

 一方のシクサーズは、マキシーがゲームハイの33得点に4アシスト、2ブロック、エンビードが29得点、8リバウンド、6アシスト、2スティール、カイル・ラウリーが18得点、ケリー・ウーブレイJr.が10得点、5スティールを記録。今季のニックス相手に初の100得点超えをマークするも、勝利には届かなかった。

 ただ、前半残り2分49秒、エンビードがダンクを決めた後の着地でヒザに異変が起きてロッカールームへ下がってしまい、最悪の事態も予想されるなか、後半開始からコートに戻り、計36分33秒プレーしたことは不幸中の幸いと言えるだろう。
  ただし、ニックスのベンチ陣に躍を許したシクサーズにとって、22日の第2戦、あるいは今後のシリーズで勝利するために必須条件となるのが、リバウンドの確保だ。

 シクサーズは初戦、リバウンド総数で33−55とニックスに圧倒された。なかでもオフェンシブ・リバウンド数で9−23、セカンドチャンスからの得点でも8−26と大差がついた。

「プレーオフの試合で、リバウンドはもの凄く重要になってくる。僕らは試合に勝つチャンスがあったんだ。けど(この試合で)最悪な部分になってしまった。勝てるチャンスがあったのにね」

 35歳のベテラン、ニコラ・バトゥームはそう語り、リバウンドや球際の争いがカギになってくると口にしていた。
 「僕らはリバウンドをコントロールしていかないといけない。それはわかってはいたことなんだ。相手はおそらくリーグでもベスト、ベストではないとしてもトップクラスのチーム。彼らは見事なプレーをしていたし、アグレッシブで、どんなボールも追いかけていた。僕らの敗因はそこにある」

 ニックスはフィールドゴール成功率39.6%(36/91)とショット不振に陥りながら、ロビンソンの7本を筆頭にブランソンと先発センターのアイザイア・ハーテンスタインが5本、ハートが4本のオフェンシブ・リバウンドを奪ってポゼッションをつなぎ、チーム全体で1勝をもぎ取っていた。

 ニックスとシクサーズのシリーズ第2戦は22日。両チームのリバウンドやルーズボール争いなど、球際の攻防にも注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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