中国競泳選手のドーピング陽性に対し、ロシアのフィギュアスケート界の重鎮であるタチアナ・タラソワ氏が怒りを露わにしている。

 3年前の東京五輪に出場した競泳中国代表の23人がオリンピック前に行なわれたドーピング検査で、心臓疾患の治療に使用される禁止物質トリメタジジンに陽性反応を示していたことが、4月20日に豪紙『Daily Telegraph』によって伝えられ、世界中に衝撃を与えた。

 中国反ドーピング機関(CHINADA)、世界反ドーピング機関(WADA)が、河北省の石家荘で実施したトレーニングキャンプ地で選手は知らず知らずのうちにトリメタジジンを摂取していたと判断。そのため彼らは処分されずに五輪に出場し、3つの金を含む6個のメダルを獲得していたのだ。

 あまりにも甘すぎる判断を下したWADAにタラソワ氏は納得できないようだ。と言うのも、22年2月の北京五輪団体戦で金メダル獲得に貢献したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(ROC)の検体からも同禁止薬物が検出され、失格に。金メダルは剥奪されたうえ、4年間の出場停止処分を受けている。
  WADAの差別的な対応にタラソワ氏は、「隠すことは何もないわ。ロシアの少女に対する偏見にすぎない。ロシアは呪われているんでしょう。そんな彼らなんか嫌いだ」と、露通信社『TASS』で語っている。

 また露下院の体育・スポーツ・青年問題委員会のドミトリー・スビシチェフ委員は、同国メディア『rsport.ru』で「違反があったならば、それ相応の処分が必要なはずだ。なぜ中国側の主張を受け入れたのに、ロシアの声は聞かなかったのか」と異議を唱えたうえで、「カミラも同じことを言っていたよ。全てロシアを取り巻く環境に関係しているのか。我々はこの閉鎖的な状況に慣れている」と呆れた様子をみせていた。

 パリ五輪開幕まで100日を切るなか、発覚したまさかの事件。はたして中国選手らは本当にクリーンだったのか...。

構成●THE DIGEST編集部

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