プロボクシングの4大世界タイトルマッチが5月6日、東京ドームで行なわれ、世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦は王者・井上尚弥(大橋)がWBC同級1位で元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)の挑戦を受け、6回TKO勝ちを収めた。立ち上がり1回には、井上がまさかのダウンを喫し、観る者に大きな衝撃を与えたが、その後の冷静な対応には現役、OBの世界王者から称賛の声が相次いだ。

【PHOTO】“怪物”井上尚弥vs“悪童”ルイス・ネリ!激闘の東京ドーム決戦をプレーバック!! 1回1分40秒過ぎ、東京ドームに激震が走る。ネリの左フックが井上の顎を捉え、“モンスター”に「人生初」というダウンを強いたのだ。会場の東京ドームは騒然。34年前に起きた番狂わせの予感を感じ取ったファンも少なくなかったのではないか。しかし、このラウンドをなんとかやり過ごした井上は、冷静に立て直し、劇的な逆転TKOに繋げている。

 試合後、このシーンについて元世界3階級制覇王者で試合を解説した長谷川穂積氏は、次のように語っている。
「人生初のダウンなのに、8カウントまで片膝ついて座っていたじゃないですか。あれってイメージトレーニングでしているんですよね。普通はすぐに立ち上がりたくなるんですけど、初ダウンでもあれができるというのは、本人はこういうピンチも来るかもしれないと。彼は彼なりにいろんなものと戦っていたと思いますよ」

 井上は試合後、「ダウンした瞬間に落ち着いて対処できた。普段のイメトレがここで生きた」と明かしており、まさかのダウンにも冷静な対処ができていたことを窺わせる。長谷川氏もダウン後の井上の振る舞いに、抜かりない準備を感じ取っていたようだ。

 さらに、同じシーンに現役の世界2階級制覇王者、京口紘人も反応。試合終了直後、自身のYouTubeチャンネルを更新した京口は試合を振り返り、「いろんなサプライズがあったけど、1ラウンド目からサプライズだった」と始め、ダウンシーンについて「不意にネリのショートフックをドンピシャでもらって、今まで見たことがないくらいに効いたようなパンチだった。意識も一瞬飛んでた」と言及し、かなり危ないシーンだったとした。

 しかし、やはり現役王者もその後の冷静な対応に注目。「何が凄いって、多少焦りはあったけど、すぐ冷静になってカウント8まで休んで立った。この大舞台の東京ドームという4万人の観客の前で冷静にあの経験をできたモンスターはマジで凄い!」と、ダウン直後の動きについて絶賛すると、1ラウンド残りの時間についても「残り1分くらいを冷静にクリンチしながらかわしたりとか、ロープを背負った時にカウンター気味に手を出して中央に戻したり。冷静さは脱帽よね。凄いサプライズだったよ」と印象を語り、終わってみればダウンを喫したこと以上に、その後の冷静な対処に感銘を受けたようだ。

 解説者、現役選手の目から見ても、4団体統一王者がみせたダウン後のリカバリーは目を見張るものがあったと言えそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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