最強打線相手でも、”ミスター・ゼロ”は健在だった。

 現地5月13日、シカゴ・カブスの今永昇太が敵地でアトランタ・ブレーブス戦に先発登板。5回(98球)を投げて、7安打8奪三振3四球無失点に抑え、防御率は再び1点台を切る0.96となり、メジャートップをキープ。チームは0対2で敗北を喫したが、今永に勝敗は付かず。02年の石井一久(ロサンゼルス・ドジャース)、14年の田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)に続く、日本人投手史上最長タイとなるデビュー6連勝は次回に持ち越しとなった。

 昨シーズン、MLB史上初の40本塁打&70盗塁でナ・リーグMVPに輝いたロナルド・アクーニャJr.、54本塁打でホームラン王に輝いたマット・オルソンらメジャー最強打線と言われるブレーブスと初対戦した今永。真価が問われる一戦で、日本人左腕が存在感を見せた。

 立ち上がりは先頭打者のアクーニャJr.に対し、いきなり3球連続ボールで四球を与えたが、次打者には内角の直球で捕邪飛。3番のオズナには初球を投げる前に一塁へのけん制で俊足のアクーニャJr.を仕留める好プレーを見せた。結局、オズナにはフルカウントから四球。そのあと中前安打で出塁を許し2死一、二塁となったが、5番アダム・デュバルを空振り三振。本塁は踏ませなかった。

 2回は三者凡退。3回は連続三振に斬って取り簡単に2アウトを奪ったが、そこから連続ヒットを浴びて一、三塁の得点機を招き、次打者に一発があるオルソンを迎える。今永はスライダー、スプリットなどでカウント1-2と追い込むと、4球目は93.2マイルの速球を外角低めのストライクゾーンにズバッと決め、見逃し三振。ピンチを脱した。

 4回も強力なブレーブス打線が今永に牙を向く。先頭のデュバルが左安打。1死後、マイケル・ハリス2世が中安打で再び一、三塁と得点圏にランナーを背負う。踏ん張りどころの今永はギアを一段階上げて、8番トラビス・ダーノーを空振り。ザック・ショートにこの試合3つ目の四球を与え満塁としたが、アクーニャJr.を直球中心に攻めて、最後は右飛で打ち取り無得点に抑えた。

 すでに球数が80球以上を超えた5回は2安打を打たれたが、この試合2つ目のけん制で一塁ランナーを刺し得点はゼロ。要所を締めた今永は、この回終わりで降板。カブス打線も5回までにわずか2安打無得点と、日本人左腕を援護できなかった。なお、「2番・右翼」でスタメン出場した鈴木誠也は第1打席に右安打を放ち、4打数1安打だった。
  2回以外は毎回安打を浴びたが、得点だけは許さなかった今永。先発投手ながら驚異の防御率に、米メディアから驚きの声が相次いでいる。MLB公式サイトは今永が再び1点台を切ると、SNSに「ショウタ・イマナガの防御率が1.00を切った!」と速報を打ち、5回降板時点でのスタッツを列挙。46.2イニングを投げて51奪三振の数字もさることながら、防御率0.96をより強調していた。

 他にも、『Con Las Bases Llenas』のカブス番記者アレッサンドラ氏はカブスの投手で8試合先発での最低防御率は1918年のフィル・ダグラス(0.95)に次いで、今永が史上2人目だと報告。メジャー1年目ながら、カブスの歴史に日本人左腕が素晴らしい快挙を成し遂げたと喜びを隠し切れなかった。

 もはやカブス先発陣の大黒柱になりつつある今永。ルーキーの快進撃は続く。 

構成●THE DIGEST編集部

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