産休を経てカムバックを遂げた女子テニス元世界ランク1位の大坂なおみ(現173位)が、クレーシーズン3戦目として臨んだWTA1000大会「イタリア国際」(5月7日〜19日/イタリア・ローマ)。現地13日にはシングルス4回戦が行なわれ、スペシャルランキング(妊娠・出産を経た選手に与えられる救済措置)で参戦した大坂は、第7シードのジェン・チンウェン(中国/同7位)と対戦。2-6、4-6のストレートで敗れ、同大会5年ぶり2度目のベスト8進出とはならなかった。

 1、2回戦をいずれもストレートで勝利した大坂は、復帰後最上位の選手との対戦となったダリア・カサキナ(ロシア/11位)との3回戦も6-3、6-3で快勝。クレーのツアー大会本戦でキャリア2度目となる3連勝を飾り、ベスト16へと駒を進めていた。

 そんな大坂の4回戦の相手は、今年1月の全豪オープンで自身初の四大大会決勝進出を果たした21歳のジェン。

 開始直後の第1ゲームでいきなりサービスダウンを喫した大坂だったが、直後の第2ゲームではしっかりと気持ちを切り替え、バックハンドのアングルショットを起点にブレークバックに成功する。ところが以降はジェンの強力なストロークに苦戦。焦りからかミスも早くなった大坂は、第4ゲームから立て続けに5ゲームを失って第1セットを落とす。
  第2セットに入ってからは忍耐強くラリーを組み立てることに集中した大坂。第1ゲームでブレークを喫すも、その後は相手にしっかりと食らいつきながらチャンスを窺う。しかし、勝負所ではリターンミスを犯すなど流れをつかみきれず、ブレークバックを果たせないまま試合終了。1時間24分で4回戦敗退となった。

 それでも26歳の元女王は、今大会でのパフォーマンスに大きな手応えを得たようだ。試合後の会見では今後の課題を含め次のようなコメントを残した。

「今日の試合から多くのことを学ぶことができるから、プレーできてとてもうれしい。(私の)レベルが他のトップ選手とそれほど変わらないこともわかると思う。私にとっては自分自身でメンタルをしっかりと保ち、自分の能力を維持することが重要なカギになる。間違いなくここ(ローマ)に来た時よりもはるかに自信が付いた状態で大会を去ることになるわ」

 最後には約2週間後に迫る今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(5月26日〜6月9日/フランス・パリ/クレー)に向け、改めて「今日の試合から多くを学んで、それを応用してパリで良い成績を収められることを願っているわ」と意欲を示した大坂。パリの大舞台でどんなプレーを見せてくれるのか非常に楽しみだ。

文●中村光佑

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