野球場で試合中の監督や選手が待機するベンチのことを“ダグアウト”という。野球選手やOBを集めて、ダグアウトでするようなによるディープな野球トークを掘り下げるのが「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext<263ch>)だ。1月16日の放送では、横浜ベイスターズの時代の元チームメイトである高木豊と野村弘樹コンビが登場した。あのイチローをセンターフライに討ち取った高木が、当時のようすを振り返る。

■あのイチローに「こんなもんやな」

同日のゲストは現役時代に“横浜大洋ホエールズのスーパーカートリオ”として人気を集め、現在は野球YouTuberとして活躍している高木豊。そして横浜ベイスターズ時代に“マシンガン打線”で活躍し、日本一を獲得した野村弘樹の2人だ。

そんな2人を迎えるMCは、ますだおかだ・岡田圭右と、元フジテレビアナウンサー・平井理央。高木と野村を迎えて、さっそく「天才だと思った選手」というトークテーマへ。高木は当時のようすを振り返りながら、稀代の野球巧者・イチローの名前を挙げた。

高木は引退間際の時期に、神戸でおこなわれたオープン戦でイチローと対戦したことがある。当時からイチローは目を引くほどのレベルだったようで、「お前なんで出れないの?」と本人に聞いてしまうほどレベルの高いものだったという。

イチローは高木の問いかけに対して「わかりません」と答えたらしいが、とにかくイチローのプレースタイルは体の使い方、バランス、コンタクトの仕方まで抜群のセンスにあふれていたと語る高木。「これは天才だな、なんで使われてないんだろうな」とまだ一軍に起用される前のイチローを前にして、疑問を感じずにはいられなかったようだ。

また野村も、1996年にイチローと対戦したことがある。しかし“まともに投げても絶対打たれる”と思った野村は、ごまかしたようにカーブを投げたところセンターフライで討ち取ることに成功。当時の様子を振り返り「こんなもんやな」と絵に描いたような“ドヤ顔”を見せ、得意げな笑顔を見せた。

すかさず岡田から「急に偉そうに」と豪速球のツッコミが飛び、スタジオは笑いの渦に。「1打席でしょ、1打席じゃわからんよ〜」すかさず高木からも物言いが入るが、「これだけは言わせてください。一応センターフライを打ち取ったんで!ただすごいバッターですよ」と引かない姿勢の野村。

なめらかに面白おかしく語る野村を見て、「この言い方を見ると方々で言うてるね〜」と岡田が見抜くと、「講演で使ってます」と高木のナイスアシストが。スタジオからはしばらく笑いが絶えなかった。

■高木のライバル的存在

高木が現役時代のセ・リーグは、篠塚和典・岡田彰布・正田耕三など、各球団に優秀なセカンドが揃い踏みしていた時期。各々が“我こそは”と奮闘するため、高木も「みんなに負けたくなかった」という。しかしなかでも高木が「負けたくないライバル」として意識していたのは、1つ年上の篠塚だったそうだ。

流し打ちの天才と言われている篠塚のことを、高木は「ボールのころし方の天才」と独特の表現で賞賛する。「これがやっぱりプロの表現」と熱くなった岡田は、篠塚のプレーをモノマネで再現し始めた。しかし高木には刺さらなかったようで、「うーんまあ…」といまいちのリアクション。岡田が「そこはうんでいいじゃないですかっ」と泣きつくなど、いつものスベリ芸が輝いていた。

高木は“ころし方”について、「柔らかさとグラブのポイントが絶対乱れない」と独自の視点で分析。篠塚もこの例にぴったり当てはまる選手だったと言い、“下半身は力が入っていても、上体はやわやわ”と語った。高木はそんな篠塚のしなやかさが欲しかったという。

謙遜する高木を見て「高木豊さんも名手でしたから〜」と岡田がフォロー。すると高木は野村の方を指さしながら、「聞いたらわかると思うけれど、だいぶ足引っ張りましたから…」と苦笑いの表情を浮かべる。しかしさすがトークに慣れている野村が、「いやいや、正面のセカンドゴロ取ってくれたときは、ナイスプレー!って必ず言ってました」と先輩を立てつつ笑いをとる。

「大先輩にそんなこと言って怒られるでしょ!(笑)」と岡田が言うと、高木も「ナメてるでしょ〜」と笑いながら反撃。「いい意味でですよ!僕みんなに言ってますから」と野村がフォローするも、「良い意味も悪い意味もないよ」と総ツッコミを受けてしまう。しかし野村が「ただ、僕がナイスプレーって言うとニコッて笑うんですよ」と泣き落とす一言を入れると、高木は「褒められると弱いんです」とまんざらでもない表情を浮かべるのだった。

■レジェンド選手たちのエピソードを掘り下げるMCの腕前

普段テレビに出て話す機会が少ない野球界の豪華ゲスト達。しかし放送を見るとそのようなことをあまり感じさせず、たくさん笑いをとっているのが毎回印象に残っている。もちろん当人たちが話慣れているパターンもあるが、やはりポイントはMCの腕にかかっている部分も大きいだろう。

たとえばゲストである高木と野村のボケもツッコミもしっかり拾い、視聴者が聞きたいトピックはしっかりと深掘りする岡田。芸人としてトークを繋げる腕は活かしつつも、ゲストを立てる手腕はさすがの一言だ。

同番組はMCが持ち回りではあるものの、いずれも野球愛とトーク回しにおける実力が保証されたメンバーばかり。今後も旬な選手はもちろん、高木のように高齢のレジェンド選手が登場することも期待される。話しやすい環境が整った同番組で、“ここだけでしか聞けない”マル秘エピソードが飛び出すのを楽しみに待ちたい。