元自衛官タレント・現代アーティストのかざりが、初の個展「記憶と情報の琥珀たち」を開催。2月2日に囲み取材に応じた。

■日本大学芸術学部を卒業し、陸上自衛隊へ

日本大学芸術学部デザイン学科卒業で元陸上自衛隊員という異色の経歴を持つかざり。俳優、モデルの他、2023年7月に防衛省広報アドバイザーにも就任。自衛隊の広報活動も行っている。

これまで「かざり」という名を使わずに別名で現代アートの作品を作り続けており、日本大学芸術学部卒業制作芸術学部長賞受賞(2015年)、大細密展優秀賞(2021年)、SHIBUYA ART AWARDS 2021 佳作(2021年)、みえ県展入選(2022年)と、さまざまな賞を受賞。

今後は元自衛官タレントの活動だけでなく、現代アート作家としてもこれまで以上に精力的に活動していくという。

■“かざり”として作品たちを発表できる

個展初日を迎え、かざりは「“かざり”として作品を発表することが初めてで、すごく緊張しているが、やっと“かざり”として作品たちを発表できることがうれしい。たくさんの人に見ていただきたい」と笑顔を見せる。

画廊に飾られた自身の作品を眺め「アトリエで制作している時は、白い壁に飾られていることが想像できなかったが、意外といいじゃないか、様になっているんじゃないかなって思う。制作している時は孤独であるけど、並んでいるのを見ると自分が描いてきたのは間違いじゃなかったんだなって思う」と感慨深げ。

「お客さんの感想を聞きながら、今後どういうものを描いていくか考えていきたい」と開場を心待ちにしている様子を見せた。

■かざりというものの存在証明

「かざり」として作品を発表することを決めたのは、SNSの「なりすまし」がきっかけだったという。

「なりすましで写真と文章が勝手に拡散されていた。自分を証明には、自分の手で線をひき、絵を描かないといけない。今はネットと現実の世界が混じり合っている状態。現実の世界でアナログで描いていくことをやらないと。(作品が)かざりというものの存在証明にもなっている」と思いを打ち明けた。

■日本画、油絵…枠組みに収まらないかざりの世界

かざりの作品は、パソコン上で描いたイラストを印刷し、その上に絵の具やペンで線を引き、その上からレジンをかけて固め、さらにその上から線や点を描き、密度を上げていっているという。「レイヤー上に重ねていく手法で、いろんな素材をミックスさせている。日本画、油絵などのジャンルのあるアートではない」という、かざり独特の世界を作り上げた。

レジンはアクセサリーなどにも使われている透明の樹脂で、「透明な物が好きなので、キャンパスの中に透明を閉じ込めたい」という思いを込めていると話す。

また、緑色の作品が多いことについては、「私が三重県菰野町の出身で、自然豊かな地域、山の近くで育ったので、緑というものが近くにあった。緑が好きだからというより、心地いい色を使っていたら緑が多くなった」とのこと。

今回展示されているのは約20点で、ほとんどが初公開。一番大きなサイズの作品となる地元・三重県のみえ県展で入選した「光をたどる」は、構想から完成まで1年を費やしたそう。レジンは乾くのに時間がかかるため、小さな作品でも制作期間は1カ月以上はかかると明かした。

■日本各地…海外進出も

今後の活動について、かざりは「(三重に近い)名古屋とか、大阪、福岡、札幌…海外でもやってみたい。いろんなところで発表していきたい」と、東京以外での個展開催に意欲的。

また、今回の個展で販売は行われないが、記者から「いくらぐらい?」と聞かれると「え〜、いくらだろう?(笑) 値段は決めてないが、今後販売できるようになれば」と、販売も視野に入れているようだ。

「去年は時間が作れなかったが、今年はもっと制作の時間を増やしていきたい。タレントと現代アーティスト、半分半分でやっていければ」と、アーティスト活動への意気込みを語っていた。

「記憶と情報の琥珀たち」は2月2日から7日(水)まで東京・新宿眼科画廊で開催。入場無料。かざりは開催期間中、ほぼ在廊している。