テレビアニメ「百千さん家のあやかし王子」(毎週金曜深夜0:00-0:30、TOKYO MXほか/ABEMA・Huluほかで配信)の第8話が2月23日(金)に放送された。スランプに陥った葵を心配し、幽世から猫ばぁばがやってくる。大きな事件こそ起きなかったが、ラストでひまりの担任・那智が呟いた一言が物議を醸した。

■「百千さん家のあやかし王子」とは

本作は、漫画雑誌「ASUKA」(KADOKAWA)にて、2013年から2019年にかけて連載され、累計発行部数110万部以上、10言語で翻訳・出版されるなど海外でも人気を集めている硝音あやによる漫画が原作。亡き両親の遺言状により、山奥の日本家屋を相続することになったヒロイン・百千ひまり(CV:川井田夏海)と、そこに住み着くあやかしたちとの生活が描かれる。

2015年には実写舞台化もされ好評を得た“あやかし系和風ファンタジー”がこの度、満を持してアニメ化された。「七つの大罪 怨嗟のエジンバラ」のボブ白旗が監督を務め、「うちの会社の小さい先輩の話」の蒼樹靖子がシリーズ構成を担当。アニメーション制作はドライブが担当する。

■葵のスランプで百千家はあやかしだらけ

ひまりは「葵のことが好きなの」と意を決して葵(CV大塚剛央)に告白。葵はその言葉に一瞬、驚いたような顔を浮かべた後で優しく微笑む。両思いに見えた2人だったが、その返事はまさかの「ごめん」。「僕はひまりをそんな風に見ていない」と、ひまりはきっぱりフラれてしまった。

失恋からのスタートとなった第8話。ひまりは紫(CV:立花慎之介)と伊勢(CV:小野友樹)の過剰な励ましや、それとは対照的に以前と全く変わらない葵の態度に凹んでしまう。一方で、葵は謎のスランプで封印がうまくいかず、「今の百千家は通り抜け放題」という噂を聞きつけたあやかしで屋敷は溢れかえるのだった。どれもひまりの「出てけ!」で外に追い払えるくらいの小妖怪だが、それもキリがない。

そんな葵を心配して幽世からやってきたのが、猫ばぁば(CV:本田貴子)だ。猫ばぁばは、葵が子供の頃に懐いていた母親のような存在。温かくも厳しく葵を鼓舞し、早く一人前のあやかしになれるようにとお見合いを勧める。ひまりは「葵は人間だ」とお見合いに反対するが、逆に猫ばぁばから「人間ごときに葵の何が分かる」と言われてしまい、うまく反論できない。この家にやってきてから、まださほど時間が経っていないひまりには葵のこれまでも今も知らないことだらけなのだ。



■猫ばぁばの姑っぷりにもへこたれないひまり

その日から猫ばぁばにこき使われるようになるひまり。見た目こそポップで愛らしいが、部屋の隅々までピカピカに掃除をさせる猫ばぁばは、まるで姑のよう。

それでも負けじと言われたことに素直に従うところがひまりらしい。猫ばぁばが意地悪のつもりで母親からもらった簪をなくしたと言われれば、夜の池にまで入って一生懸命探す。「そこまでわしの点数稼ぎがしたいのにい」と嫌味を言われても、「家族からもらったものでしょ。絶対に見つけるから心配しないで」と笑顔で返すひまり。そんな彼女を猫ばぁばも少しずつ認め始める。

一方、葵は相変わらずスランプに苦しんでいた。ひまりはそんな葵に元の感覚を取り戻してもらおうと闇鍋会を開く。賑やかに鍋を囲むひまりと葵たちは本当の家族に見えた。しかし、ちょっとしたハプニングで葵がひまりに覆いかぶさる形になった時、ひまりは一瞬葵が鵺の姿に見える。「お前はとうにあやかし側にいるのだ」という火車(CV:八代拓)の台詞が思い起こされる。火車の言う通り、葵は人間から完全なあやかしに変わりつつあるのだろうか。

■ラストの那智の台詞が意味深!

翌日、ねぐらに帰ると言い出した猫ばぁば。ひまりのことを気に入ったのか、最後に猫ばぁばは大事にしていた簪を贈る。その簪は元々、”たった一度だけ真実、大事な道を照らす”という言い伝えのある“ほおずき提灯”だった。

猫ばぁばは「百千家に迷い込んだ日から、多分もうあの子自身、帰り道を忘れかけている」と、葵のことを迷子だと語る。帰り道がわかったところで、百千家からは出られない。猫ばぁはが葵にお見合いを勧めたのは、これ以上辛い思いをするくらいなら、人間の頃の記憶もしがらみも忘れた方が楽だと思ったからだ。

「お前にできるか、百千ひまり。あの子を灯になれるか?」

そんな問いをひまりに残し、猫ばぁばはねぐらへと帰っていった。ひまりは葵の帰り道を探すと決意。地域の伝承などに詳しい那智(CV:羽多野渉)に葵が元いた七守家について聞くが、何も情報は得られなかった。しかし、ひまりが去った後、那智は「七守か。葵くんは大きくなったかな……?」とポツリ。

那智と葵に何らかの繋がりがあると見られる衝撃の展開に、視聴者からは「那智先生の言葉が意味深で怪しい」「那智先生が葵を知ってるってどういうこと!?」「やっぱり那智先生怪しいじゃん」「まじで何者?!気になる!」という声が挙がった。

■文/苫とり子