日向夏のライトノベルをアニメ化した「薬屋のひとりごと」(毎週土曜深夜0:55-1:25、日本テレビ系/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかにて配信)の第21話が3月2日に放送された。緑青館の三姫の1人が身請けされるという噂が浮上。焦った李白が白鈴を身請けしたいと猫猫に相談を持ちかける。二人の仲を疑う壬氏に目をつけられた李白の、男気溢れるある決断に視聴者から称賛の声が上がった。(以下、ネタバレを含みます)

■「薬屋のひとりごと」とは

同作は、日向夏の小説を原作とする後宮謎解きエンターテインメント。小説は「ヒーロー文庫」(イマジカインフォス)より刊行中で、「ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)および「サンデーGX」(小学館)でのコミカライズも展開されており、シリーズ累計2400万部を突破。中世の東洋を舞台に、「毒見役」の少女・猫猫が宮中で起こるさまざまな難事件を次々に解決する姿を描く。

TVアニメは長沼範裕監督(「魔法使いの嫁」や「劇場版 弱虫ペダル(2015)」など)のもと、TOHO animation STUDIOとOLM(「オッドタクシー」や「古見さんは、コミュ症です。」など)がタッグを組みアニメーション制作を担当。CVは猫猫役を悠木碧、壬氏役を大塚剛央が務める。

■猫猫と李白の身体検査に壬氏はふくれっ面

玉葉妃(CV:種崎敦美)が懐妊した可能性があり、猫猫は再び翡翠宮で毒見役をすることになった。そんな中、武官の李白(CV:赤羽根健治)から呼び出しを食らう猫猫。以前、里帰りの際に彼女は自身が生まれ育った高級妓楼・緑青館の紹介状と引き換えに、李白に身元を保証してもらったことがある。そこで人気妓女“三姫”の一人・白鈴(CV:小清水亜美)に相手をしてもらった李白はすっかり骨抜きにされてしまったのだった。

会って早々、思いつめた顔で「妓女の身請金っていくらだ?」と猫猫に問いかける李白。実は三姫の一人が身請けされるかもしれないという噂があり、それを聞いて白鈴のことが心配になったのだ。李白は誰かに身請けされる前に、白鈴を自分の妻にしたいと考えていた。

出産経験がないにもかかわらず、母乳が出る特異体質の白鈴に育てられた猫猫。色欲も強いが、母性も強い。そんな白鈴は猫猫にとって母親も同然のような存在だった。ゆえに、猫猫は李白が彼女に相応しいかどうかを真剣に見極める。

白鈴の身請金は李白の年収の10倍だ。しかし、大事なのはお金だけじゃない。なぜか、李白に服を脱ぐように命じる猫猫。それは、李白の体が白鈴の好みに合うかを確かめるためだった。武官である李白の体は現代風に言うならば、マッチョ。よく鍛えられていて、均整も取れている。あとは……と猫猫が最後の一枚であるパンツまで脱がそうとしたその時。部屋に入ってきたのは、壬氏だった。

よく考えれば、誤解を招きかねない状況。ただでさえ、猫猫が李白に身元保証を頼んだことが気に入らない壬氏はジェラシーを隠せない。そんな壬氏の前で、体を見れば、その人がどういう人かわかるという猫猫は「毎日訓練を欠かさない真面目な方と見受けられ 武官の中でもかなり腕が立つ方ではないでしょうか」と李白を褒める。誤解はとけたが、なんだか面白くない壬氏のふくれっ面が可愛かった。

■これぞ漢!な李白の決断に称賛の声続出

後日、壬氏に呼び出される李白。壬氏はその表情こそ柔らかいが「先日はうちの侍女が世話になったね」としっかり李白を牽制した上で、何を考えているのか、身請金の2万を肩代わりすると言い出した。それは李白にとって、願ってもない話。だが、面識のない相手からの申し出に李白は警戒する。当然だ。

見ず知らずの官にそんなことを言ってもいいのかと聞かれ、「うちの猫はかなり警戒心が強いのだよ。それが君の相談を受け なおかつ姉に等しい人間の伴侶としてどうか……などと考えている」と答える壬氏。猫猫のことを“猫”と呼んでいるところ、また「つまり用心深い“猫”が懐くなら、それだけで信用できると」という李白の言葉にピリッとしたムードを漂わせるところに壬氏の独占欲が現れている。

恋愛感情はないとはいえ、猫猫と仲が良い李白は意外と執念深いところがある壬氏に目をつけられてしまったのだ。そんなある意味、かわいそうな李白は地方官の子として生まれ、目利きの軍師に見出されて隊を任された。壬氏はそういう有望な官と仲良くなっておきたいからと今回の申し出の意図を明かす。

正直、今の李白は喉から手が出るほどお金が欲しい。だが、白鈴は自分にとって単なる妓女ではなく、たった一人の大切な女性。「妻として迎えたい女性を自分で稼いだ金で請けずして それで男と言えましょうか」と李白はきっぱり壬氏の申し出を断る。体を見れば、その人がどういう人かわかるという猫猫の言葉は本当だった。

その日からも訓練を欠かさず、勤勉に仕事と向き合い、白鈴に心を込めた文を送る。そんな真面目で男前な李白に、視聴者から「李白かっけぇ…これは漢だわ」「李白は愛すべきバカだが、男気溢れるひたむきな点は好印象」「白鈴も待っている様子だったから2人には幸せになってほしい!」と称賛の声が上がった。

一方、李白がどんな男なのかを見極めるために敢えて目の前にニンジンをぶら下げた壬氏については「最悪(いやある意味最高)のタイミングで壬氏様来て笑った」「嫉妬する壬氏様が可愛い面倒くさいw」「壬氏の嫉妬よ…お前も頑張れよ」といった声が上がっている。

ラストでは、三姫の一人が身請けされるかもしれないという話は根も葉も無い噂であることが明らかに。「あの人が来て身請けの話をしていたから、それで禿が勘違いしたのだと思う」と白鈴は猫猫に送った文に書いていた。あの人とは、おそらく羅漢(CV:桐本拓哉)のことだろう。猫猫の父である羅漢は何をしようとしているのだろうか。

※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」

◆文=苫とり子