舞台「東京輪舞」のプレスコール及び初日前会見が3月9日に東京・PARCO劇場で開催され、初日前会見にはキャストの高木雄也、清水くるみの他、台本を手掛ける山本卓卓氏、演出・美術を手掛ける杉原邦生氏が登壇した。

■高木雄也と清水くるみが“10の情事”をリレー形式で描く

原作は、オーストリアの劇作家アルトゥル・シュニッツラー氏が1900年に発表した問題作「輪舞」。男女の情事前後の会話をリレー形式で描写した内容は、当時の社会にセンセーションを巻き起こした。3度の映画化やオペラ化、さらに90年代の翻案作「ブルールーム」ではニコール・キッドマンとイアン・グレンが女性男性5人ずつを演じ、話題を集めた。

本公演では、舞台を現在の東京に翻案。高木と清水がさまざまな登場人物を演じ分け、“10の情事”の風景をリレー形式で描く。高木は8役、清水は6役を演じる。

■高木8役、清水6役…複数の役を演じることの難しさ

8役を演じることについて高木は「経験がなかったので、(役を)どう変えればいいのか分からず、声を変えたらいいのかなとか考えていたんですけど、杉原さんから『そういうことは気にしないでちゃんと役に入り込んでいけば、声とかもその役に近づいていくよ』と初期の段階で言っていただいたので、そこからはもう心配せずに、自分が思うように“その人”で生きています。8役といっても、その中で1役が2役と接することがあるので、8役だけどその倍の役がある感覚です」と演じてみての感想を述べる。

また、6役を演じる清水は「切り替えがすごく難しいです。役をやってる時に、一瞬違うキャラが出てしまったり、言い回しが自分っぽくなってしまったりするので、難しいなと思いました。あと、2人芝居で役の数に差があるのは何でだろうと思う方も多いんじゃないかなと思いますが、そこも見どころですし、楽しみにしていただきたいなと思います」とアピールした。

■「こんな俳優出会ったことない」高木の魅力

高木と清水の俳優としての魅力について、山本氏は「高木さんは、(芝居を)やればやるほど、自分で発見していく感じです。昨日と今日の声の響きの違いなどを新鮮に感じたり、楽しみながら作業をしているところに感動しています。高木さんは、見れば見るほどもっと見たくなるところが本当に魅力的だなと思います。清水さんは、『ここに行きたい』っていうポイントがきっとあるんだと思います。そこにたどり着くためにひたすら行く。だから高木さんとは対照的。(高木の)掘り下げていくパターンと、(清水の)高みに行くパターン、そのコントラストが2人の魅力です」と語る。

演出を手掛ける杉原氏は「2人とも本当に飾り気がなくて素直に稽古場にいてくれる。高木くんは、こんな俳優出会ったことないです(笑)。稽古の最中でも、休憩中でも本当にこのまんまで。シームレスにお芝居と普段を行き来できる稀有な存在だなと思います。年末にHey! Say! JUMPのライブを見に行ったんですけど、みんな格好良く踊って歌っていて、それは高木くんもなんですけど、ふとした瞬間にフラーってその辺を歩いてる自然体の高木くんでいる。この感じでドームに立てるんだったら、PARCO劇場でも絶対に自然体で芝居をしてくれるなと思いました。本当にこんな俳優出会ったことないです」と語り、高木は「ありがとうございます…なのかな?(笑)」と笑顔に。

■「この二人でよかった」稽古初期から実感

さらに、杉原氏は清水についても「くるみさんも思ってることを本当に素直に伝えてくれます。今どこに悩んでるとか、今どういう気持ちで役に挑もうとしているのかっていうことが直に伝わってくるので、すごく信頼できます。本当に二人と作業しててやりにくいところはなかったので、稽古の初期の段階からこの二人でよかったなって思いました」と語った。

会見の最後に、高木は「見る方の年齢とか過ごしてきた環境とか今の気持ちとかで、もしかしたら見え方が変わってくるのかなとは思うんですけど、“今の自分が見た時にどう感じるか”を大事にして見てもらえたらうれしいです。ぜひ皆さん遊びにきてください」とメッセージを送った。

本公演は、東京(PARCO劇場、3月10〜28日)、福岡(久留米シティプラザ ザ・グランドホール、4月5日・6日)、大阪(森ノ宮ピロティホール、4月12日〜15日)、広島(広島上野学園ホール、4月19日)で上演される。

◆取材・文=水沢あすみ

※高木雄也の「高」ははしご高が正式表記