小芝風花が主演を務める木曜劇場「大奥」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)の第8話が3月7日に放送。第8話では、倫子(小芝)が母として子どもを思い泣く姿が描かれた。その一方で、子を失った母・倫子の悲しみに、家治(亀梨和也)が寄り添う姿があり、自然と涙が流れた。X(旧Twitter)では、「これはつらい」「倫子様も上様も切ない」「地獄すぎて無理」という声や、「このドロドロ感こそ大奥よな」「大奥って感じだわ…!」という声が寄せられていた。 (以下、ネタバレを含みます)

■「大奥」の内容を紹介

本作は、連続ドラマとしては約20年ぶりに復活したフジテレビ系「大奥」シリーズ。さまざまな人間の思惑、嫉妬、憎悪、悲哀が渦巻く“女性の社会の縮図=大奥”で、たった一つの愛を得ようともがく女性らの戦いを描く。

■倫子と家治の間にわずかな亀裂が…「大奥」第8話を振り返る

急に産気づいた五十宮倫子を心配し、徳川家治が駆け付ける。子を産むにはまだ早い時期で、家治は倫子に手を伸ばすも、その手を倫子に退けられてしまう。そして倫子は子を出産するが、悲しいものとなってしまった。

その頃、松平定信(宮舘涼太)は隠密を相手に将棋を指し、「最初にあらゆるものを奪ったのは、あの男だ」と漏らす。その思いが定信を突き動かし、家治の血を根絶やしにして、自らが幕府の中枢に就くことへと向いていた。

一方、お品(西野七瀬)が懐妊する。お品の子を将軍世継ぎにせんとする田沼意次(安田顕)と高岳(田中道子)の意気は上がる。一方、竹千代を愛でるお知保は、傷心の倫子を気にしていた。家治も倫子に会いに行くが、倫子は今は一人にしておいてほしいと、深い悲しみに暮れていた。

そんな倫子に、定信から贈り物が届く。その贈り物には文が隠されており、倫子を元気づけんとする内容だったが、定信は新たな企てを仕掛けようとしていていた。

■あまりに早すぎる子どもとの別れ

倫子が待ち望んでいた最愛のわが子は亡くなってしまう。子どもを抱き締めながら、泣く倫子に家治は掛ける言葉を見つけることができなかった。

その後、月日は流れる。倫子はまだ悲しみから抜け出せていなかった。憔悴(しょうすい)しきった倫子の姿が痛々しく、涙があふれた人もいただろう。

大奥で、倫子はたくさんの嫌がらせを受けてきた。そのたびに、倫子はお品とともに力を合わせ、自分なりに乗り越えてきた。そんな倫子の姿を見て、勇気をもらった視聴者もいたように思う。しかし、今回はそうもいかなかった。子どもを失った深い悲しみは、どんどん倫子をむしばんでいく。

そこへお知保(森川葵)がやって来る。朝の総ぶれの報告をするお知保に、倫子は御台所としての役割を果たせていないことについて、謝罪の言葉を述べる。さらに、倫子は、お知保が竹千代からもらったセミの抜け殻を見けてしまう。

倫子は「よかったですね。さなぎから立派な大人になれたのですね」と涙を浮かべる。何をしていても、見ても、なくした子どもを思い出してしまうことが分かる切ないシーンとなった。

■嫌でも耳にしてしまうお品の話

大奥では、どんな話も筒抜けだった。子をなくした倫子の耳に入ったのは、付き人としてともに過ごしてきたお品の懐妊だった。

倫子はお知保に、お品が子どもを授かったことについて問う。はっきりと「はい」と告げるお知保に、倫子は静かにそうですかと返答する。

倫子はお品を最後まで信じていた。飛び交う話もお品の口から聞くまでは信じないと思っていたかもしれないし、何か事情があるのかもしれないと考えていたのかもしれない。倫子にとって、お品は大切な存在だったのだから。

しかし、お品は倫子の思いを裏切ることに。家治の側室になったことも、家治の子どもを授かったことも言わず、倫子の前にも現れることなかった。お品のこともあり、倫子はさらに深いダメージを負う。最愛の子どもだけではなく、大切な存在であるお品もそばにいない。倫子は立ち直る気力を全てなくしてしまったのだった。

■倫子と家治の決意に涙

わが子をなくしたことで、倫子は家治と会うことができなくなっていた。家治の顔を見ることで、最愛のわが子を思い出してしまうと泣きながら訴える倫子。そんな倫子に対し、家治はただ立ち尽くすことしかできなかった。

このまま、夫婦の関係は崩れてしまうのかと心配してしまった。だが、家治は家治なりのやり方で、倫子に寄り添い、夫婦の関係は修復へと向かう。

ある日、倫子は家治が自分の母親を思って、植えてくれたリンドウの花が枯れていることに気が付く。ここでも倫子は子どもを思って涙する。その様子を見て、家治は倫子に見せたいものがあると告げる。

家治は、倫子に松を見せると、植えた理由を打ち明ける。また、松に娘を思っていると話し、倫子が長い間、体の中で大事に育て、自分たちの元に生まれてきてくれた娘のことを生涯忘れないと優しく宣言。

さらに、家治は、父親として娘に恥じぬ世を創ると誓ったとも言い、松のそばに建てられた千代と書かれた墓石に向けて、手を合わせるのだった。家治なりの寄り添い方に、倫子は涙する。そして、家治同様に、倫子も自分も子どもをなかったことにしないと固く決意。子どもの死をともに乗り越えようとする倫子と家治の姿に涙腺が崩壊した。

Xでは、母として、子どもの死を受け入れられない倫子の姿に、「涙で前が見えない」「切ないよおおお」「地獄展開」「もう許して…」という声が上がった。その一方で、どんどんドロドロしていくストーリーに、「思い出してきたこのどうしようもない感じ」「このドロドロ感こそ大奥よな」「大奥って感じだわ…!」というコメントが寄せられていた。

◆文=ザテレビジョンドラマ部