指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ・=LOVE(イコールラブ)のメンバーであり、アニメ好きの野口衣織が「神セリフ」からアニメの魅力をひもといていく連載企画。約2年半続いてきたこの連載も、今回が最終回となります。第29回では“美少女×お遊戯コメディ”がコンセプトの「あそびあそばせ」を語る!(※この記事にはネタバレが含まれています)

■「あそびあそばせ」ってどんなアニメ?

同じ女子中学校のクラスメイトで、“あそ研”こと「遊び人研究会」に所属する本田華子(CV.木野日菜)、オリヴィア(CV.長江里加)、野村香純(CV.小原好美)を中心に繰り広げられるシュールギャグアニメ。作画やオープニングの美しさから可愛らしい女の子たちのゆるふわな日常を描いた作品だと思われがちだが、レベルの高すぎる顔芸や想像の斜め上をいく抱腹絶倒のストーリー展開など、いい意味で予想を次々と裏切ってくる。

■画と内容のギャップがすごい!たまにある豆知識要素もツボ

優しい雰囲気で色彩が鮮やかなタッチの作画に、お花畑の中で微笑んでる可愛い女子3人というオープニングを見たときは、「女の子の花園感のある作品なのかな?」と思いました。でも本編はなんと100%ギャグ! あんなに可愛い顔してるのに表情もびっくりするくらい崩れるし、声色もコロコロ変わって……とにかく衝撃を受けました。そのときにしかない表情や声色があるから、毎回新鮮な気持ちで楽しめるんです。“あそ研”の活動をベースに話が展開していくんですけど、ぶっ飛びすぎた内容が多くて、ゲラゲラ笑っているうちに見終わっちゃう。

たまに豆知識みたいな詳しい情報が差し込まれているのがすごく好きです。金髪の美少女・オリヴィアがワキガだということをついに本人が気づく回(第7話「恐怖の女」)では、「環境省が発表している臭気指数規制ガイドラインから考えると放置して大丈夫なラインの数値だから」とか「香水とかは、その臭いと混じっていい香りになるって、あちらの方々は主張していますし、そういう匂いが好きって紳士もいますし」っていう、急なガチレスが入ってくるんですよ(笑)。知識があるからこそのネタが面白くて。作者が博識なのも伝わってきますし、私も勉強になってます(笑)。

■3者3様のメインキャラ。中でも華子は見ていて飽きません!

勉強もスポーツもできて、執事までいるお金持ちの華子は、3人の中で一番情緒の波がすごい(笑)。触れちゃいけない線に触れると突如暴走するし、でもどこか達観して冷静な部分もあったりします。頭がいいのに全くそう見えなかったり、リア充になりたがっているのに一番遠い存在……というところも華子らしくていいな。なにより顔の表現力が桁違いで、髪の毛や全身まで使ってパフォーマンスするんですよ。見ていて飽きなくて一番好きなキャラです。

金髪碧眼の美少女・オリヴィアは穏やかで、3人の中だと一番まともかも?全教科赤点を取るほど勉強が苦手なのに、全く勉強しようと思わないところもブレなくていい(笑)。でも、こんな可愛い顔してワキガの設定があるから、アニメの中のいいアクセントになっているかなと思います。

香純は……変ですね(笑)。華子と逆で、メガネをかけていて頭良さそうに見えるのに英語の成績が壊滅的に悪かったり、趣味のBL小説執筆も癖が強すぎるかなり独特な内容。誰も思いつかないようなストーリーを繰り広げているんです。実はこのアニメで一番好きなシーンは、香純のBL小説がメインの回!

■繰り返し20回も見ました。香純作の小説を私にも読ませて!

香純が書いたBL小説の回(第7話「電波でGO」)がすっごく好きで。香純が不在なのをいいことに、華子が勝手にパソコンを開いて小説を読んじゃうんですよ。それがなんとテニス部の先輩が後輩を倉庫に監禁する話で、ガムテープで縛ろうとするんです。普通だったら「何するんですか?やめてください!」とかじゃないですか。でも後輩は「それは粘着力の強い方のガムテープですか?」って粘着力の強さを気にしてて(笑)。そうしたら先輩が「そうだ。これは粘着力の強〜い方のガムテープだ」って言いながらガムテープを舐めようとして。でも粘着力が強いから、ガムテープと舌がくっついちゃって取れない……みたいなBLを書いてて。もう全然意味わかんない(笑)。

初めて見たときも面白かったんですけど、最後まで見てからもう一回見直したときに、そのシーンがあまりにもツボすぎて、巻き戻して20回くらい見ました(笑)。なんでなんだろう?なんで粘着力の強い方のガムテープにしたかったんだろう……?色々考えたらシュールすぎて(笑)。香純はこれを萌えだと思っているのかと。頼むから私にも香純作の小説を最初から最後まで読ませてほしい!

■後のエピソードへの伏線っぽくなってる、まさかのセリフ(笑)

「将棋ってお尻からビーム出すあの競技だし、教室でやるには危険じゃないですか!?」(第3話「命懸け」より)

将棋部に“あそ研”の使用していた教室を奪われそうになったとき、華子が生徒会長に放った言葉です。これだけ聞いたら「?」かもしれないんですが、実は第4話以降に出てくるエピソードにも関わってるんです。

きっかけは華子が幼いときに「将棋ってなに?」と執事の前多に尋ねたこと。正しい回答をすると華子に将棋をやって見せる流れになるけど、立場上、わからないとは言えないものの実はルールがさっぱりな前多。じゃあ、話をテキトーに逸らしちゃえってことで、「お尻からビーム出す競技です」って華子に教えたんです。

お尻からビームなんて出るわけないから、思いつきで言ったんだろうな〜と思ったんですけど、次の瞬間には前多のお尻からビームが出て華子の豪邸の壁を突き破ってました(笑)。本当に……出た。後のエピソードで、華子のおじいさんがお尻からビームが出ることで路頭に迷っていた前多を救って執事にした事実が判明したり、このセリフで前多という人物も華子の家柄も普通じゃないというのがわかるのでお気に入りです。

誰にも指摘されることなく、純粋に信じてきた華子も可愛いし、おとなしそうな将棋部がそんな激しい勝負を繰り広げていると思っていたんだなぁと考えるだけでも、また笑いが込み上げてきます(笑)。

取材・文=鈴木惠