チョンウ主演の韓国ドラマ「奇跡の兄弟」が映像配信サービス「Lemino」にて独占配信中。第2話は、少年(ぺ・ヒョンソン)が不思議な力で主治医を救い、ドンジュ(チョンウ)が犯人からの電話で「小説の結末を変えろ」と一方的に言われたところでラストを迎えた。謎が深まるこのドラマの第3話を考察と共に振り返る(以下、ネタバレを含みます)。

■小説についてのインタビューを受けることになったドンジュ

第3話は、ドンジュが盗作を疑われ、マスコミなどから追い詰められてビルから転落する夢を見るところから始まる。夢から覚めたドンジュは、出版社の社長イ・ミョンソク(イ・ギウ)からの電話で「いますぐ来い」と呼びつけられるのだった。小説のインタビューを受けることになったドンジュは、「神は死んだ」を書いたきっかけを聞かれ困惑するも、小説家の夢を見ながら貧乏な暮らしをしていた頃を振り返り、ある日「奇跡」が起きたのだと話す。

一方、刑事のパク・ヒョンス(パク・ユリム)は、2年前の事件の被害者が持っていた写真に写っていた複数の人物が「フォルトゥナ」という会員制の高級バーのメンバーであることを知り、新たな被害者シン・ギョンチョル(ソン・ジェリョン)が殺害されたのは「フォルトゥナ」からの帰りであったことを突き止める。その後、ヒョンスは「フォルトゥナ」の社長カン・ヘギョン(ソ・ジェヒ)から、事件当日、酒に酔っていたギョンチョルのために代行の運転手を依頼したが、運転手が到着した時にはギョンチョルの姿はなかったという証言を聞き出した。

■少年が見つけた子どもに異変

少年の見舞いのために病院に来たドンジュは、少年から「僕を轢いた責任がある。退院したらあなたの家に住まわせてほしい」と頼まれる。「なぜ加害者の家にすみたいのか」とドンジュが問うと、「あなたといると何も見えないし聞こえない。一緒にいると楽なんです」と少年は答えた。事故の責任を感じていたドンジュは仕方なくその要望を聞き入れる。そして少年の指示で、彼が轢かれた事故現場へと向かう。少年は「ここに路地裏があったはずなのに…」と同じ場所なのにまるで別の場所に来たかのような違和感を口にするが、ドンジュは「ここは1年以上前から工事現場だった」といい、不思議に思いつつもその場を去るのだった。

2人が住宅街を歩いていると、少年が子どもの姿を見つける。その子どもの後を追うと、一軒の家の前で立ち止まった。壁には絵が描かれており、その絵に触れた途端に子どもは消えてしまう。そして、少年はその家の中に瞬間移動するのだった。

家の中には子どもが倒れており、部屋の扉には鍵がかけられていて監禁状態に。一緒に閉じ込められてしまった少年は必死に脱出を試みるが、窓も開かずどうすることもできない。一方、ドンジュは突然消えた少年を探すも行方がわからず途方に暮れていた。

そんな時、子どもを監禁していた母親が帰宅。部屋から出て来た少年は能力を使って母親を殺そうとする。ところがドンジュの声が聞こえ、その瞬間に少年は我に返るのだった。その後、子どもは無事に警察に保護され、母親は逮捕された。

■小説「神は死んだ」が殺人事件の鍵に

ドンジュの自宅を訪れたヒョンスは、『「神は死んだ」で書かれていることと同じ事件が実際に起きている。あの小説は本当にあなたが書いたのですか?』と問い詰める。その言葉に動揺し、不安を隠せないドンジュ。ようやく「神は死んだ」と事件との関わりを暗示させる展開を見せて第3話は幕を閉じる。

少年が持つ不思議な力で幼い子供を救いつつも虐待していた母親に対しては強い憎悪を感じさせる姿が印象的だった第3話。ラストでは、ドンジュがヒョンスから小説を本当に書いたのか問い詰められ、この先の展開で「神は死んだ」が2つの殺人事件の鍵を握っていることを匂わせていた。ミステリー要素はどんどん強まってきた本ドラマだが、今回から新たな楽しみが増えたように感じる。

それはドンジュと少年のコミカルなやり取りだ。記憶がない少年にとってスマホやカーナビなど全てが物珍しく、そのリアクションにいちいちツッコミを入れるドンジュがおかしくてつい笑ってしまう。このでこぼこコンビがもしかしたら「奇跡の兄弟」となっていくのか、はたまた別の兄弟が登場するのか、4話以降にも期待したい。

◆文/奥村百恵