石原さとみが主演を務めるドラマ「Destiny」(毎週火曜夜9:00‐9:54、テレビ朝日系)が現在放送中。石原演じる横浜地検の検事・西村奏が、12年前に起きたある事件の真相を追うとともに、運命の波に翻弄(ほんろう)されていく様子を描く本作。4月9日に放送された第1話では、奏の大学時代の親友である及川カオリ(田中みな実)が事故死するという衝撃の展開が描かれ、早くも話題を集めている。

今回WEBザテレビジョンでは、物語のキーパーソンとなる及川カオリを演じた田中みな実にインタビューを実施。本作で演じたカオリという役柄への思いや撮影の裏側、さらには自身の大学時代などについても語ってもらった。

■「何でも持っているカオリにとって仲間が何より大切だった」

――まずは本作で演じられた「及川カオリ」の役どころについて教えてください。

カオリは裕福な家庭で何不自由なく育ち、欲しいものは何でも手に入れてきましたが、「本当にほしいもの」は自分のものにならない。どこか愛情に飢えたような、不安定な心のうちを、演じながら痛いほど感じました。

――公式サイトのキャラクター紹介には「究極の寂しがり屋」といった記載もありましたが、ご自身の役どころについて、最初に聞いた時の印象はいかがでしたか?

わかりやすく言えば「究極の寂しがり屋」なのかもしれませんが、甘えたいわけでも、注目されたいわけでもなくて、彼女は大好きな仲間とずっと一緒にいたかったんじゃないかな、と思うんです。友情を必死で守ろうとしていただけなのに。きっと、唯一誇れるのが奏、真樹、知美、祐希との関係性だったのに。だからそこにすがってしまったのでしょうね。

■「カオリの存在が視聴者の脳裏にしっかりと焼き付くように」

――今回のカオリの役作りや演じる上で意識されたことはありますか? 監督さんやプロデューサーさんとお話しされたことがあれば教えてください。

プロデューサーの中川(慎子)さんからは、及川カオリの死の真相をめぐって物語が展開されていくので、生きていた頃のカオリの存在がセンセーショナルでなければならないと初めに言われました。とても大切な役だから田中さんにやっていただきたかった、とも。

視聴者の皆さんの脳裏にも、しっかりとカオリが焼き付くように、学生時代のカオリを丁寧に演じたつもりです。明るく弾ける笑顔、苦悩する不安定な様、彼女の死の真相がいったい何だったのか、今後いっそう気になってもらえるように。

こんなにも大切な役を託してくださったことは、光栄であると同時に不安でもあり…。クランクイン前は迷いが多かったのですが、実際現場に入ってみればすべてが杞憂(きゆう)に過ぎず、他の役者陣の圧倒的なパワーに引っ張ってもらってとても助けられました。


――第1話でいきなりカオリが亡くなってしまうという衝撃の展開には、視聴者の皆さんも大いに驚かれていました。「カオリが亡くなる」という展開を聞かれた時はいかがでしたか?

初めから聞かされていましたが、「まさか1話で!!」と、少しは驚きました(笑)。何より、学生時代のカオリを演じるうちに、もっとみんなと芝居がしたい、みんなと大人(現代パート)になりたいと思ってしまいました。それほど楽しく、学びの多い現場だったんです。

■「俳優さんってたくましい、と心底思いました(笑)」

――カオリが生きていた「12年前」、大学時代のシーンは長野でロケをされたとのことですが、撮影はいかがでしたか?

夏真っ盛りの撮影は暑さと、虫との戦いでした。長野の山の中で車で移動中ウトウトしていたら、「パチパチパチパチ」って窓を叩く音が聴こえてきて。「あれ、雨なのかな?」と外に目をやると、虫の大群が車にぶつかってパチパチ音を立てていたんです。

こんな中、車を降りてトイレに行くのはどう考えても無理!「どうしよう、車から出られない〜」って、本気で泣きました。マネージャーくんも困り果てていましたね(笑)。だって、想像を絶するほどの大群だったんです。しかも、見たことがないほど大きな虫…。
――撮影中もライトなどを焚いていると、虫が光の方へ近寄ってきてしまうから大変ですよね…。

そうなんです! 撮影中も、大きくてふてぶてしい虫が無遠慮にぶつかってくるんですよ。もう夢に見て飛び起きるほど嫌で…。でも、他のキャストの皆さんはそんな私を見て大笑いするくらい心に余裕があって、さすがだなと。

特に石原さんは虫を全く意に介さず。虫がブンブン飛びまわる中、空き時間に談笑されていて。そんな姿を見て、どうかしてる…いや、俳優さんってたくましい、と心底思いました(笑)。

■共演して感じた石原さとみの“すごみ"

――奏役の石原さとみさんや、大学時代の仲間を演じた皆さんは同世代かと思いますが、現場の様子はいかがでしたか? 印象的なエピソードなどあれば教えてください。

石原さんと亀梨さんは同じ1986年生まれで、こんなに同世代が集まってお芝居できる機会はなかなかないので、キャストの一覧を頂いた時から楽しみで仕方ありませんでした。私が学生の頃から多方面で活躍されていた方々でもありましたし、そんな皆さんと名を連ねていることをとても不思議に思いました。

お芝居をしているときは、それぞれに役を全うしながら相手の芝居を全身で感じているのですが、完成した映像を見た時に初めて、その圧倒的な表現力に気付かされるんですよね。「あの時、石原さんこんな表情をしていたんだ」とか。

お芝居をしているとき、私にはまだ余裕がなくて、相手の細かな表現に気付けないことも多いんですけど、第一線で長く活躍されている方々のすごさを、まざまざと感じさせられました。

■大学時代の思い出はテニサー


――本作では大学時代の出来事が重要な要素となってきますが、それにちなんで学生時代のお話もお伺いできればと思います。田中さんご自身は大学生の頃、どんな学生生活を送っていましたか?

中学・高校が女子校で、大学生になって初めて共学を経験したので、男の人が大学内にいる環境がそもそも自分にとって新鮮でした。テニスサークルに入り、のびのびと、楽しく、学生時代を謳歌(おうか)できたかなと思います。

学生のうちにインターンシップや実践的なワークショップ、セミナーなどを受けておいたほうが就職に有利なのかと気にされる学生が、今は多いと聞いて驚きました。あくまで個人的な意見ですが、私は、学生のうちにしかできないことを存分に楽しんでほしいと思ってしまいます。とにかく、たくさんの楽しい経験をしてほしい! 旅行したり、サークル活動を楽しんだり、飲み会に行ったり、そういう「学生生活」を目いっぱい楽しむといいよって。

社会人になると自分の時間がなかなかとれない。旅行もできない、思いっきりふざけ合うこともできない。「学生だから」って許されるうちに、いっぱい怒られて、恥をかいて、遊んでください。もちろん、学生の本分はきっちりと全うしたうえで。

私は大学時代、サークル活動に勤しんでいた気がします。“テニサー”と聞くとチャラチャラしたイメージが先行しがちですが、練習にも部活動さながら真面目に取り組むサークルでした。私はテニス初心者で、できないことが悔しくてたまらなくて、日が暮れてからも練習したり、休みの日もコートを借りて練習していました。

試合中は手にできたマメがつぶれてラケットが血だらけになったり、途中足がつりそうになって腕に振りかけた塩を舐めながら続けたり…。真剣に何かに打ち込んだことが学生時代の良き思い出です。


――そうした大学時代の経験が、本作でカオリを演じる中で生かされた部分はありましたか?

このドラマの中で通ずる部分があるかはわからないですが、学生時代の「青春」って、ひとつのことにバカみたいに一生懸命になれる一方で、幼さ、未熟さ、不安定さが共存していて。それがひとつの魅力なのかなと感じました。

第1話では及川カオリの不安定な部分が鮮明に描かれていたけど、きっと、他のみんなもそうだったと思うんです。大人みたいなところと未熟で幼い衝動が入り混じった時期に失った友の存在が、30代になっても、いつまでもまとわりついて、運命をゆがませていくのかなと。

■第2話の見どころは「奏と真樹の再会のシーン」

――最後に、第2話の見どころを含め、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします!

カオリが亡くなってから12年が経ち、学生時代の仲間たちは大人になってそれぞれの人生を生きています。そんな中、奏と真樹が再び出会ってしまう。そのシーンが本当に不意に訪れるのですが、グッと来てしまいました。

「何で今(現れるの)?」という奏の驚き、怒り、抑えても湧き上がってきてしまう愛しさ。何の前触れもなく、あの頃のようにふらっと現れる真樹の罪深さ。何事もなかったかのように目の前に現れて、「変わんないね」とか普通の話をされて…。真樹ってそういう人じゃないですか。その時の奏の様子が、見ていてたまらなくて。胸がザワザワして涙がこぼれました。

1話は私の周りでも好評で、映画を1本見たような満足感があると自負しているのですが、2話、3話と回を重ねるごとに面白さが加速します。最後まで楽しんでご覧いただけると確信していますので、どうか、毎週ご覧ください!!