俳優の福士蒼汰が、4月16日に都内で開催された映画「湖の女たち」(5月17日[金]公開)完成披露上映会の舞台あいさつに、松本まりか、福地桃子、財前直見、大森立嗣監督と共に登場した。

■映画「湖の女たち」あらすじ

吉田修一の同名小説を映画化した同作品は、過去の原罪と未来への光の拮抗(きっこう)が、終始見る者の理性と感性を激しく揺さぶる比類なきヒューマン・ミステリー。大森監督とは映画「さよなら渓谷」(2013年)以来、約10年ぶりのタッグとなる。

湖畔の介護施設で100歳の老人が殺される事件が発生し、事件の捜査に当たった西湖署の若手刑事・圭介(福士)とベテラン刑事・伊佐美(浅野忠信)は、施設の中から容疑者を挙げ、執拗(しつよう)な取り調べを行っていく。その陰で、圭介は取り調べで出会った介護士・佳代(松本)へのゆがんだ支配欲を抱いていく。一方、事件を追う週刊誌記者・池田(福地)は、この殺人事件と署が隠蔽(いんぺい)してきたある薬害事件に関係があることを突き止めていくが、捜査の先に浮かび上がったのは過去から隠蔽(いんぺい)された恐るべき真実だった――。

■財前直見も思わず訴える福士蒼汰の“ひどい目”

舞台あいさつでは、福士がこれまでに演じたことのない新境地ともいえる圭介役について「『あんまり役作りしていない』と言うと語弊があるかもしれないんですけど、今その場で感じ取ったこと、思ったことを、思ったタイミングで言う、行動するっていうこと、『今を生きる』っていうことだけに集中して演じたんです。なので、主観を強めた作品だったな思っています」と述懐。

「完成したものを見たら、『こんな表情してるんだ』って自分で驚いたので、とても新鮮で発見があった役どころでした」と語った。

そして、役の見どころについて「目のお芝居ですね。監督のアンダーコントロールの中で、自分では無意識だったんですけど、『こんなひどい目してたんだな、俺…』って感じました」と明かすと、取り調べを受ける介護士・松本を演じた財前は「本当にひどかったです!」と訴え、会場を沸かせた。
■福士蒼汰と松本まりかが、仲が悪かったことを激白

トークが進む中、不毛でアブノーマルな性愛に溺れていく男女を演じた福士と松本に、財前が「2人はできてるの? この映画でラブが目覚めたとかないの?」と突っ込んだ質問を寄せる。

すると、松本が「仲が悪かったですから。現場ではひと言もしゃべらなかったんです」と否定し、「(佳代を支配する圭介が)すごく怖くて、畏怖の存在。『怖い=嫌い』なのかなっていう。全然優しくしてくれないし、笑顔も見たことないし、本当に『福士くん=圭介』のイメージで、『この方は本当にこういう人なんだな』って思って1年半そのままだったんです」と告白。

だが、数カ月前からプロモーション活動で再会すると印象がガラリと変わったようで、「実際会ってみたら、めちゃくちゃ(フィーリングが)合いますよね。結構しゃべりやすくて! (福士は)お姉ちゃんがいるみたいで、女の子の扱いがとても上手」と笑顔を見せる。

そんな松本の発言に、福士は「ちょっと語弊があるかもしれないな。言い方が。『扱い』って言っちゃうと」と慌てて注意し、笑いを誘った。

◆取材・文=原田健