現代のニューヨークを舞台にシャーロック・ホームズがワトソン女史と難事件に挑む、大ヒット犯罪捜査ミステリー「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」が、動画配信サービス「Hulu」にてシーズン1〜7まで配信中。本記事では、本シリーズのあらすじや見どころを紹介していく。

■ホームズの相棒・ワトソンを“女性”が演じた初めての作品

本作は米国で2012年に放送が開始されると、第1話で1340万人もの視聴者数を獲得。その後もシーズン1を通して、1100万人前後の視聴者数をキープし続けた大ヒット作だ。鋭い観察眼から推理力を発揮し難事件を解決していくシャーロック・ホームズ役をジョニー・リー・ミラーが、元は優秀な外科医であり多彩な医学知識を生かしてバディとしての能力を発揮していくジョーン・ワトソン役をルーシー・リューが演じている。

シャーロック・ホームズにちなんだ作品が数多く存在する中で、ホームズの相棒であるワトソンを初めて女性が演じた作品として注目を集めた本作。ワトソンが女性であることに憤りを感じるファンがいるのではと心配される中、ルーシー・リューは以前インタビューで「ワトソンを女性にするなんて、ショッキングなことだったと思う」「ワトソンが女性になったからといって、世界がひっくり返るわけではないということを理解してもらうのには時間がかかるだろう」とその覚悟を語っていた。

しかし蓋を開ければ、本作がヒットしている要因の一つとしてあげられるほど、ホームズとワトソンの相性は抜群だった。薬物依存症だったホームズのリハビリをサポートするため6週間限定の付添人として登場したワトソンは、ときに姉のように世話を焼き、ときにホームズを驚かせるほどの頭脳と知性を見せていく。そんな彼女の豊富な医学知識と知性を高く評価したホームズは、付き添いの契約が終了しても、探偵見習いとして仕事を続けてほしいとオファーすることとなるのだ。

■ワトソンのオシャレで機能的な装いにも注目

ワトソンを演じるルーシー・リューは、1991年に「ビバリーヒルズ高校白書」でプロの女優デビューを果たすと、コメディドラマ「アリー my Love」のリン役でブレイク。その後は「チャーリーズ・エンジェル」シリーズや「シカゴ」「キル・ビル」など、映画でも印象的な役を演じている。ちなみに本作では、“ニューヨーク・シティで働く女性たちをイメージした”というオシャレで機能的な彼女のファッションも、注目ポイントの一つとなっている。

一方、主人公のシャーロック・ホームズを演じるのは、表情豊かでありながら変なことにこだわるあたりがオタクっぽく、“現代版ホームズにピッタリ”だと高評価を得ているジョニー・リー・ミラーだ。米国と英国を股にかけTV、映画、舞台と多面的に活躍するミラーは、英国のTVドラマ「SHERLOCK/シャーロック」でホームズ役を演じているベネディクト・カンバーバッチとは私生活で友人だという。

そして以前カンバーバッチは、ミラー演じるホームズについて「『エレメンタリー』を観たけど素晴らしかった。だって、自分がすごく好きな俳優が、自分がすごく好きな役を楽しみながら演じていたんだから。彼も僕と同じように楽しんで演じているところを観るのはすごく素敵だった。彼は素晴らしい仕事をしていると思うよ」と絶賛コメントを残ししたことでも知られている。

さらに、本作には豪華俳優陣もゲスト出演しており、映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のビニー・ジョーンズ、映画「ハムナプトラ」シリーズのジョン・ハナー、「ゲーム・オブ・スローンズ」でマージェリー・タイレル役を務めるナタリー・ドーマー、「ノッティングヒルの恋人」「アメイジング・スパイダーマン」のリス・エバンスら、多くのイギリス人俳優が登場する点も本作の特徴と言えるだろう。

■薬物依存症だったホームズのリハビリをサポートするため、ワトソンが雇われる

シーズン1では、ロンドン警視庁で顧問を務めていたシャーロック・ホームズが薬物依存症となり、リハビリのためニューヨークに住むこととなる。そこへ、リハビリをサポートするためにホームズの父に雇われたジョーン・ワトソンという女性がやってくる。彼女は優秀な外科医だったが手術の失敗で患者を死なせてしまい、医者をやめた過去をもっていた。“病める人を助けたい”という思いで付添人を引き受けたものの、ニューヨーク市警の顧問に志願して殺人現場に乗り込んで行くホームズに、ワトソンは戸惑いを隠せずにいた――。

シーズン2では、天才的な探偵能力で次々と難事件を解決するホームズが、ワトソンに探偵の素質があることを見抜き、彼女を説得する。そして“最強のパートナー”として、数々の事件を解決することに。そんな中、ホームズの元へロンドン警視庁のレストレード警部補がトラブルに見舞われ、逃亡しているという連絡が入る。ロンドンへ向かったホームズはかつての住まいに滞在するつもりだったが、そこには兄のマイクロフトの姿があった――。

シーズン3では、自分の生活がホームズと探偵業だけになってしまうことを懸念したワトソンが、ホームズとの同居をやめることを決心する。ワトソンを失うことで再び薬物依存症になることを恐れたホームズは、MI6からのオファーを受けてイギリスへ渡ることに。その後、ニューヨーク市警の顧問役をホームズから引き継いだワトソンは、麻薬カルテルの女ボスを逮捕するのだが、その罪を証言するはずの女性が護衛の警察官とともにエレベーター内で射殺されてしまう。密室での不可解な犯行に、思わず首をひねるワトソン。そこへホームズが協力を申し出て――。

シーズン4では、重傷を負わせるほどヘロイン中毒のオスカー・ランキンをホームズが殴ったことで、ニューヨーク市警顧問を解任されてしまう。そんなホームズの前に、妻と女性2人を殺害した容疑者ジョナサン・ブルームが現れる。ブルームは女性2人の殺害は認めるが、「妻は殺していない」と主張し、ホームズに「妻殺しの真犯人を探してくれ」と依頼。そして眼の前で拳銃自殺してしまうのだった――。

■ワトソンが無実の罪を着せられ、ホームズらは秘密裏に捜査を進める

シーズン5では、ホームズとワトソンの探偵コンビもいよいよ結成5年目の記念日を迎える。しかし、外科医をやめ、薬物依存症患者の付き添いもやめてしまったワトソンの今後を心配したホームズが今後について尋ねると、彼女は「“人を罰する仕事”に疑問を感じ、“直接人を助ける仕事”が恋しくなった」と告げる。そこへ、前科者の元麻薬ディーラー、シンウェルが現れる。ワトソンは以前、彼の手術を担当したことがあった。ホームズに“シンウェルが社会復帰する手助けをしてみてはどうか”と提案されたワトソンは、シンウェルに“探偵になる方法”を伝授することにするのだが――。

シーズン6では、ギャング組織SBK掃討のために動いていた仲間が何者かによって殺される。ホームズとワトソンは亡くなった仲間の遺志を継ぎ、SBKを崩壊させようと捜査を始めるが、彼が殺されたことに自分が関係していると知り、ショックを受けるワトソン。さらに、天才的記憶力の持ち主であるはずのホームズが仲間の告別式を忘れ、ワトソンのことも避けているように感じたため、徐々に心配を募らせていく――。

ファイナルシーズンとなるシーズン7では、ワトソンが無実の罪を着せられてしまう事態が発生。ホームズとワトソンは、潔白を証明しようと秘密裏に捜査を進め、真犯人がグレッグソン警部の娘であることを突き止める。自分が罪を被ってイギリスへ戻り、二度とアメリカの地を踏まなければ逮捕は免れると考えたホームズは、それを行動に移す。ワトソンもホームズを追いかけてロンドンへ移り住むのだが、そこへ“ホームズたちのかつての仲間が何者かに撃たれ、意識不明の状態になった”という連絡が入るのだった――。

本作の製作総指揮を務めたロバート・ドハティによると、もともとは“シーズン6”を最終シーズンにするつもりで製作していたとのこと。ところが、シーズン6の放送中に突然ファイナルシーズン継続が決定。ファンからは喜びの声が上がったが、製作陣にとっては大きなチャレンジだったようだ。そんな本作のラストでは、衝撃的な展開が描かれる。