山崎紘菜主演の火曜ドラマ9「御社の乱れ正します!」(毎週火曜夜9:00-9:30、BS-TBS)が現在放送中。同作は、電子コミック「御社の不倫の件~絶対に別れさせます~」(樹ユウマ/DPNブックス)が原作の“不倫成敗ドラマ”で、見ていてスカッとする展開がSNSなどを中心に話題になっている。このたび、WEBザテレビジョンでは企画プロデュースを務める北川雅一氏に独占インタビューを実施。本作を実写化するに至った経緯や、大事にしたポイント、またメインキャストの起用理由やその素顔について語ってくれた。

■山崎紘菜演じる“美しきヒーロー”が社内不倫を成敗!

BS-TBSでは2022年から放送していたドラマ枠を火曜夜9時に「火曜ドラマ9(ないん)」と銘打ってゴールデンタイムに進出。

その第1弾となる今回は、電子コミック戦国時代に現れた新ジャンル“不倫マンガ”を実写化。対象者に近付き、美貌と頭脳を駆使し不倫を解消させる主人公・玲(山崎)を筆頭に、飯島寛騎演じる新、小笠原海(超特急)演じるガンちゃんら個性豊かな「オフィスAIRクリーニング」の面々が、社内不倫カップルをじりじりと追い詰め、華麗に成敗していく。

■題材選びのキーワードは“不倫”と“復讐”

――「火曜ドラマ9(ないん)」のトップバッターとして、この題材を選んだ理由を教えてください。

「視聴率と配信の両方を考えたい」という中でいろいろな題材を探したのですが、“不倫”というキーワードに視聴者の方が興味を持っているなという印象がありました。それに加えて、“復讐”というキーワードもまた人気があるようだなと。

これは、昨年「夫婦が壊れるとき」(2023年、日本テレビ系)という作品にプロデューサーとして入らせていただいた時に感じたことでした。

“不倫”と“復讐”というキーワードを中心に考えていく中で、過去に一度原作を読んでいて、実は企画書も一度書いたことがあった、樹ユウマさんによる電子コミック「御社の不倫の件~絶対に別れさせます~」が思い浮かんだんです。

この作品は不倫を扱っている作品でありながら、悪いやつが成敗されるという展開も描かれるので、今回のテーマにぴったりハマっているなと思い、この題材を選びました。


■原作者と相談して生まれたドラマオリジナルの要素がスパイスに

――原作ファンの多い本作を実写化するにあたって、特に大事にした点を教えてください。

僕自身、電子コミックというものにあまり縁がなかったのですが、パソコンを開いてネットでいろいろと検索をしているうちに、「御社の不倫の件~絶対に別れさせます~」がレコメンドされている時期があって。

その時に気になって読んだのですが、調べていくとすでに1600万回以上ダウンロードされていると知り、これがリアルな本だとしたらベストセラーだなと思ったんです。だからこそ、多くの人が読んでいる原作であるということは肝に銘じました。

映像化する上で大事にした部分でいうと、まず原作者の思いを汲んで、それを絶対に曲げないようにしました。それに加えて、原作を読んだ時に面白いと感じた部分は大切にしたいなと。

第1、2話でいうと、通常のドラマであれば脇役となる小島藤子さん、優希美青さん、戸田昌宏さんのシーンが結構あるんですよ。小島さん演じるさつきがつらい思いをして、そして槇原(戸田)と梨々香(優希)の不倫関係がしっかりと描かれるからこそ、最後に玲が制裁を加える時に視聴者としてはスカッとすると思うので、そこはしっかり描こうと決めていました。

これは原作者さんにご提案させていただいたことになるのですが、なぜ玲が“別れさせ屋”という仕事を始めたのかということは現時点では原作で描かれていないんです。なので、そこを実写化する上で何かしら考えさせていただけないかとご相談して、“ある設定”にたどり着きました。これは原作にはないドラマオリジナルの展開になっています。

――小笠原さん演じるガンちゃんも実写化するにあたってキャラクターを変更されていますよね?

はい、原作だとガンちゃんはオネエキャラなんです。漫画の世界では自然に溶け込んでいるものの、そのまま実写にしてしまうとどう見えるのか、正直不安なところではあって。原作者の方と相談をして、今のガンちゃんが誕生しました。

それに加えて、原作だとガンちゃんは新と同世代という設定なのですが、ドラマオリジナルとなる玲の“ある設定”を思いついた時に、ガンちゃんも近くにいた方がいいですし、「Bar Purple Rose」のあり様を考え、玲とガンちゃんは同じ職場にいたという設定にしました。

実は原作者の方も初期段階では同じような設定を考えたこともあったそうで…思いはズレていなかったんだなと少しうれしかったです。


■本人のお気に入りは「ジャージにメガネ姿のストーカーチックな玲」

――主人公・玲を演じている山崎さんのキャスティング理由と、現場で感じた魅力を教えてください。

山崎さんはクールビューティーに見えるのですが、実は面白い人だよなと常々思っていました。今回演じている三枝玲はクールな面とチャーミングな面を両方持ち合わせている女性なので、山崎さんにぴったりだなと思い、オファーしました。

普段の山崎さんも美しいせいかどこか近寄りがたい雰囲気があって、勝手にこちらが緊張してしまうのですが、話してみるとすごく面白い人。撮影の合間時間に飯島さん、小笠原さんと楽しそうにしている姿を見ると“こういう一面もあるんだな”と、つい驚くこともあって。世間の皆さんにも山崎さんのちょっぴりおかしな一面をぜひ知っていただきたいです。

第4話ではジャージにメガネ姿のストーカーチックな玲も登場していますが、ご本人的には、この時の衣装が一番のお気に入りだそうです(笑)。

――では、新をキュートに演じている飯島さんはいかがですか?

以前BS-TBSのドラマにも出演したことがあって、その時に評判も良く、人気もあったので、わりと初期の段階から、ぜひ飯島さんに新を演じていただけたらなと思っていました。

飯島さんは山崎さんと逆で、実は物静かな人なのかなと。役の上ではちょっとチャラくて明るいお兄さんがビタッとハマっていますが、山崎さんより実年齢が下には見えないほど普段は落ち着いている印象です。

――小笠原さんとはドラマオリジナルのキャラクターをどのように作り上げていったのでしょうか。

山崎さんと飯島さんは原作にもキャラクターがしっかりと描かれているから、そういった部分からヒントを得ながら演じてくれたと思いますが、小笠原さんに関しては見た目がまず全然違うので、スタッフや監督と話し合いながら、衣装なども一緒に決めていきました。

――どこか大人の余裕を感じさせる、ドラマのガンちゃんもまたすてきですよね。

ズルい人ですよね(笑)。小笠原さんって普段は気のいいお兄ちゃんなんですよ。山崎さんが「マイナスイオンが出ている」と言うくらい一緒にいて落ち着きますし、癒やされるし、優しくて気遣いのできる方なのですが、ドラマの映像を見ると、すごく奥行きのある男性だなと感じるので、小笠原さんが今回のキャラクターにはめにいってくれたんだなと思います。


■終盤では「玲と新の関係にもある変化が訪れます」

――3人はクランクイン前から息ピッタリでしたが、現場で印象的だった姿があれば教えてください。

ポスター撮影の日に初めて3人が集まって本読みをしたのですが、その時はまだお互いの出方を探っているような状況でした。その後、クランクインをしてからバーのシーンの撮影があったのですが、衣装を着た上でセットの中に入ると、わりとすぐに今の形になっていった印象です。なので、お芝居の面でいうと驚きや発見というよりも“うまくハマってよかったな”と思っていました。

3人のシーンはバーでの撮影がほとんどだったのですが、3人そろうと山崎さんがうれしそうだったのが印象的です。きっと連日の撮影で疲れているはずなのに、3人一緒だと元気でしたし、空き時間はおしゃべりをして盛り上がっていました。

そういえば物ボケ大会をしていたこともあって(笑)。バーに置いてある小道具を使って、山崎さんと小笠原さんが永遠に物ボケをしていました。山崎さんはアインシュタインさんとラジオをやっていらっしゃるのもあって、きっとお笑いが好きなんでしょうね。

――最後に終盤戦に向けての見どころと注目ポイントをお願いします。

終盤戦では玲がなぜ「オフィス AIR クリーニング」という仕事を始めたのか、そして時々手にしている指輪が何なのかが明かされます。そして、新はアルバイトなのですが、玲との関係にもある変化が訪れます。

そして、また迷惑な不倫カップルも登場します。5年にわたって社内不倫を続けているという頑固な汚れ不倫を、どのようにして玲がクリーニングするのか。楽しみにしていただけたらと思います !