「SAND LAND: THE SERIES」(ディズニープラス「スター」オリジナルシリーズ)の最終回となる第13話「戦いの果てに」が5月1日(水)に配信される。悪魔の王子・ベルゼブブ(CV:田村睦心)に劣勢を強いられた天使・ムニエル(CV:村瀬歩)がアクアニウムのパワーを吸収して“最終形態”になったところで終わった第12話を経て、いよいよ物語が完結する最終話の予習を兼ねて、ほとんどの謎が明かされた第10話「ムニエルの壺」の内容を中心に振り返ってみたい。(以下、12話までのネタバレを含みます)

■「SAND LAND: THE SERIES」とは

同作は、世代や国境を越えて愛される「DRAGON BALL」「Dr.スランプ」の生みの親である鳥山明さんの珠玉の短編を原作に、「機動戦士ガンダム」や「ラブライブ!」シリーズといった多くの人気作品を手掛けてきたサンライズ、TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのオープニング映像や「ポプテピピック」などで注目されたアニメーションスタジオ・神風動画、ハイクオリティーな3DCGアニメーションを得意とするANIMAの3社が制作したアニメーション作品。

人間の保安官・ラオ(CV:山路和弘)とベルゼブブ、ベルゼブブのお目付け役の魔物・シーフ(CV:チョー)が、水不足にあえぐ人々を救うために“幻の泉”を探す冒険を描いた「悪魔の王子編」のその後を描いた「天使の勇者編」では、野望のために暗躍する天使・ムニエルと理想の国家を築くためにフォレストランドでクーデターを起こしたブレッド大将軍(CV:玄田哲章)による行き過ぎた計画を阻止するべく、ベルゼブブらが再び奮闘。フォレストランドの王女だったアン(CV:小松未可子)らレジスタンスたちと力を合わせて世界の危機に立ち向かっていく。

歴史的作品を全世界へ送り出してきた鳥山さんの作品の中でも、“圧倒的完成度を誇る名作”と称される同作の魅力は、やはりオリジナリティーがあふれていながらどこかなじみ深さも感じる“鳥山クオリティー”の世界観とストーリー展開だろう。

悪魔が主人公というシニカルな設定、“悪魔”が善人で“天使”が悪人という社会風刺的なキャラクター設定、ちりばめられたコミカルなギャグ要素、新しい物語から登場するヒロインの存在、謎の真相が明かされていくにつれて広がっていく解決すべき問題の規模、「悪魔の王子編」で敵対関係だった者たちが協力する姿、毎話ごとに広がりを見せる引き付けられるストーリー…。鳥山さんの代表作「DRAGON BALL」や「Dr.スランプ」などにも通ずる場面が数多くあり、かつて少年だった大人たちの忘れかけた少年心をくすぐるだけでなく、時代と共に変化するエンタメ界において核として変わらず在り続ける“王道中の王道”の冒険ファンタジー的要素が今の子どもたちにも刺さる、世代を問わず楽しめる作品だ。

■第10話で物語が大きく動き出す

最終話に向けてキーとなる回だったのが、第10話だろう。子どもの頃から機械いじりが好きだったからこそ現在のアンがメカニックに強いこと、ブレッド大将軍がクーデターを起こすまでのあらましとゼウ大将軍への私怨が動機だったこと、アクアニウムが王宮で見つかったことが全ての元凶の引き金となってしまっていたこと、アンの母が悪魔だったという真実から明らかになったベルゼブブとアンが叔父と姪という関係だったこと、楽に出世しようともくろんだムニエルの姑息な思考から彼の野望が始まっていること、第7話でムニエルが大事そうに抱えていた壺には悪魔を封印する力があったことなどが描かれ、物語はクライマックスへと向かっていく。

SNSでも「これだけ人々を熱くさせるのは一体なんだろう。鳥山先生すごすぎるよ」「鳥山ワールド楽しめていい感じ。銃が効かないの見て、思わず、悟空かよ!って、ツッコミ入れた(笑)」「天使ムニエル、ピッコロ大魔王並に非道w」「やっぱり鳥山明は天才だ」「鳥山明先生の好きを詰め込んで自由に描かれた1冊と聞いていたけどこんなきれいに色々な設定拾って1クールとしても1話としても納得させてくるの強い」といった“鳥山ワールド”を絶賛するコメントがあふれており、「DRAGON BALL」でのラディッツやセルが現れた時のような、過去の設定を壊さず逆に生かして違和感なく新たな展開を描いているところの反響が大きかった。

第11話では、世界の全てを破壊する力を持つと言われる空中要塞「ガラム」の復活に成功したムニエルとブレッド大将軍が世界を掌握すべく行動を起こす。ガラムの戦闘力を盾にサンドランドに侵攻するムニエルらを止めるべく、ベルゼブブらはガラムの中への潜入を目指す。

第12話では、ガラムに潜入したラオ、シーフ、ベルゼブブ、アンの前にブレッド大将軍が立ちはだかる。ラオとシーフがブレッド大将軍を引き付ける中、ベルゼブブとアンはガラムの中枢へ。そこでムニエルとの最終決戦が始まる。

そして最終話では、ベルゼブブに劣勢を強いられたムニエルがアクアニウムのパワーを吸収して圧倒的な力を得る。一方、動力源であるアクアニウムが異常をきたしたことで、ガラムが地上に墜落してしまう可能性が浮上。天使との対決とガラム墜落というピンチに、ベルゼブブやアンたちはどう乗り切るのか――。

ゴールデンウィークで連休となる方も多いだろう。この機会に一気見して鳥山ワールドを堪能するのも一興だ。スターオリジナルシリーズ「SAND LAND: THE SERIES」は、ディズニープラスで世界独占配信中。

◆文=原田健