5月7日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext<263ch>)のゲストは、広島東洋カープ時代に“33試合連続安打”という未だ破られていない日本記録を樹立した高橋慶彦。そして1986年に同チームのリーグ優勝に貢献した金石昭人だ。“負けたくなかったライバル”に関する話題では、厳しいプロの世界だからこその熱い関係を改めて語った。

■「仲悪かったわ〜」ライバルとの日々を振り返る

ゲストの現役時代やプライベート、野球界全体について深掘りする同番組の人気コーナー「球界アレコレ話」。今回は、ゲストを取り巻いている“球界相関図”を紐解いていく。

選ばれた話題は、“負けたくなかったライバル”について。すると、高橋はすぐに北別府学の名前を挙げた。北別府はカープ黄金期のエース投手で、通算213勝という球団最多記録を持っている。抜群のボールコントロールを指して、“精密機械”という異名がつくほどだった。

高橋の「これはね〜仲悪かったね」と当時のようすを振り返ったひと言に、スタジオからは笑いが起こる。仲の悪い選手が何人かいたと言われている高橋。北別府の他にも、達川光男、正田耕三の名前を挙げた高橋だったが、この2人は「どうってことなかった」という。群を抜いて仲が悪かったのが、北別府だったようだ。

1歳年下だった北別府が1年目で2勝し、早めに1軍で活躍したところから軋轢ができたという。ピッチャーのエース・北別府、野手のエース・高橋という“両雄”関係だった当時の関係を「仲良いわけないよね」と改めて振り返る。

いまはチームのエースとリーダーがともに手を取り合い、一緒にチームを盛り上げていくことが多い。しかし高橋が現役だった頃は、“バチバチ”だったようだ。高橋をはじめとする野手が打たないと北別府が「ちゃんと打て」、フォアボールを出すと高橋が北別府に「しっかり投げろ」と、お互いに言い合っていたと語る金石。

さらに高橋いわく、当時はみんなあまり仲が良くなかったという。MCのアンガールズ・山根良顕もそのような噂を耳にしたことがあるらしく、納得した表情で話を聞いていた。

しかしやはり全員が全員不仲ということではないようだ。北別府と高橋のように“両雄”関係にあった山本浩二と衣笠祥雄は、「大人だからそういうところは見せなかった」と語る。ライバル関係ではあったものの、チームを2人で引っ張っていたようだ。

「ペー(北別府)とは性格の問題」と言って苦笑いを浮かべるも、「すごい良いピッチャー」とプレーは認めている高橋。性格は合わなかったかもしれないが、野球選手としての相手の長所を認める2人の独特な関係性が垣間見えた。

■明日の天気の予想をしながらお酒を飲んでいた現役時代

続いてはガチャガチャでトークテーマを決める「ガチャガチャダグアウト」のコーナー。金石がガチャガチャを回して出てきたのは「お酒の失敗談」について。

なんとも微妙な表情を浮かべて「これこっちに回します」と高橋に話題を回そうとする金石に、スタジオでは大きな笑いが起きた。

あまり失敗談については記憶がないようだが、試合終わりには必ず飲みに出かけていた金石。「明日雨だから大丈夫」と荒天で試合が中止になることを見越してお酒を飲むと、まったくの晴天で普通に試合があった…ということもあったようだ。“大丈夫”ではない、二日酔いの状態で試合に臨んだこともあったとか。

また遠征に行くとホテルにはほとんどいなかったという金石。「ホテルにいる人ってなかなかいなかったですよね」と高橋に振ると、都合が悪いのか即座に「俺に聞かんで!」と突っぱねられる。高橋は真っ先にホテルからいなくなっていたタイプのようで、「ホテルの食事がもったいないから事前に言ってくれ」とマネージャーによく怒られていたらしい。

金石はスケジュール表を初めに配られていたカープ時代、いつ頃どこへ遠征に行くという予定をチェックしていた。「野球の試合は二の次。夜の予定を先に立てる」というくらい、遠征を楽しみにしていたようだ。楽しみなことのための頑張りが、素晴らしい結果につながっていたのかもしれない。

■“いまとは違う”時代の変遷を知る思い出話

昔のスポーツ選手は、同門同士でもバチバチのライバル関係にあった。いまはどこのチームもフレンドリーな雰囲気があって、SNSを通じて外部との交流も盛んだ。しかし食うか食われるかというピリついた雰囲気のなかで、切磋琢磨と競り合っていた昔の雰囲気も好きという人は少なくないだろう。

プロたるもの、私情を置いて最高の連携を発揮するべき。だからこそ、「実は反りが合わなかった人物」といった話は貴重だ。球団内部の情報があまり表に出てこなかった時代のファンからすれば、“いまだから”と本人たちの口から語られて初めて知る事実も多いはず。特に「誰と誰が不仲」などのネガティブな情報ともなれば、積極的に話すことでもないためだ。

仲良く過ごすに越したことはないが、「チームメイトは全員ライバル」というくらいバチバチの距離感もまたプロならでは。プロであっても過熱指導がなくなり、チームメイトの仲は好調になり、上下のパワハラも少なくなっている。そうした時代の変遷を知るためにも、こうした“いまとは違う”思い出話はどんどん掘っていってほしいものだ。