日本に居ながら、芸術的な刺激を受け、非日常体験ができるホテルが誕生した。

それが、2023年4月1日、広島県大竹市の海辺にオープンした「Simose Art Garden Villa」。

10棟のヴィラと美術館、レストランが一体となった“アート・オーベルジュ”だ。

世界的建築家・坂 茂氏が施設全体を設計し、泊まる建築作品としての醍醐味も満点!



レセプション棟では、杉材のL型アングルに注目!


岩国空港から送迎車で約25分。静かな内海を愛でる庭のようにホテルの広大な敷地が広がる。

鮮やかな花が咲き誇る庭を歩けば乙女心がくすぐられ、美術館屋上テラスからの景色を観たら、さすらいの旅人モードに没入。



大竹コンビナートを望む工場夜景。ホッピングできるコンテナギャラリーも


正面には宮島が浮かび、右奥には大竹コンビナートが煙をあげる。

さらに真下は建築家・坂 茂氏が手がけた可動式ギャラリー。

観たかった景色が集結している立地に驚くが、宿泊者は朝晩も屋上に入れるとあって、夜景への期待が湧く。



植物学者でもあったエミール・ガレの作品をモチーフにした、プレイベートガーデン


美術館閉館後は庭も宿泊者限定のプライベートガーデンとなる。

オールインクルーシブ(1泊2食+客室内ドリンク)には美術館のチケットも含まれ、そこには地元企業一族が半世紀かけて集めたアンリ・マティスやエミール・ガレの作品が並ぶ。



坂建築を象徴する「紙の家」。全開にできる窓も魅力的


10棟のヴィラのうち4棟は坂氏の過去作品のリメイク、6棟は新作だ。

1995年の別荘のリメイク「紙の家」は、坂建築を象徴する再生紙の紙管を建築の主構造に用いた作品だ。



紙の筒に囲まれた寝室が、非日常を演出


圧巻なのが入り口から続く紙管の長い廊下。迷路気分で進むとリビングとテラスがあり、仕切りの向こうがベッドルーム。

紙管にぐるりと囲まれた円形空間はまさに非日常である。



海を眺めながら、お部屋でシャンパンタイム


そんな滞在をいっそう楽しんでもらおうと、客室にはフリーの赤白ワインとシャンパンのハーフボトルが用意されている。



絶景ジャグジーが楽しめる、東カレ的ヴィラ「ダブルルーフの家」


見学した「ダブルルーフの家」(105㎡)は2枚の屋根を有し、海と空と繋がるテラスにジャグジーとデイベッドを設置。



「下瀬美術館」の壁一面の鏡に反射した景色に感動する


泡と建築、景色に酔っているうちに陽が暮れて、既述の屋上テラスに戻ると、不夜城コンビナートが輝いている。

もう一度その夜景を見るため、まだ暗い早朝にも行くと、暁闇のあと宮島から朝陽が神々しく昇りだす。

一瞬にも永遠にも感じる絶景のリレーだ。



開放的なレストランで朝食とシャンパンを


器が美しく焼きたてパンが美味しい朝食は、フレンチトーストも必食。

当然のように朝からシャンパンも提供してくれる。