男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「港区女子に玉砕した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:麻布十番でひとり暮らし、28歳事務職の女。港区女子なのか判断するために男が取った行動は…



ここ最近、何度か会っていた陸。しかし出会って3度目くらいの帰り道に陸からこう聞かれて、私は彼をバッサリ切ることにした。

「あのさ、莉緒ちゃんって付き合う気あるの?」
「陸くんと付き合う気?うーん…それはないかも(笑)」

いい人だと思ったし、最初は付き合うのもアリかなと思った。

ただ何度か会っているうちに、私はこの人は“ナシ”だと判断した。

「でも、こんなに一緒にいると楽しくて、僕たち相性もいいじゃん?」
「そうだね」

一緒にいると楽しい。でも若干、男性的魅力に欠けている陸。

ちょっとしたコトだけれど、女性からすると首をかしげたくなる言動があった。


A1:食事やレストランに対する価値観の違いに落胆した


32歳で経営者の陸と出会ったのは、知り合いのタカシさんが呼んでくれた食事会だった。

タカシさんは名の知れた経営者だけれど、既婚者。

本人がどうこうというより、みんなとワイワイ飲むのが好きで、彼の後輩たちを呼んでよく食事会を開いてくれている。

そして、この会に参加していたうちの一人が陸だった。

「名前はなんて言うんですか?」
「僕は陸です。お名前は?」
「莉緒です。よろしくお願いします」

タカシさんの周りは後輩の経営者が多くて、優良株がたくさんいる。だから私も、陸に期待をしていた。

「陸くんのお仕事は?」
「僕は自分で会社をやっています」
「へ〜どんな会社なんですか?」
「ゲームの会社だよ。まだまだスタートアップだけど」

顔も悪くないし、意外に話しやすい。28歳になるし、そろそろ結婚も視野に入れたいお年頃。そう考えると、陸は一応将来性もありそうだ。

そう判断したので、私も積極的に話しかける。



「すごい!どんなゲームですか?私、意外にゲーマーで」
「マジで?めっちゃいいね。どんなゲームが好き?」

そんな話をしていると、陸がとても自然に食事に誘ってきてくれた。

「良ければ、今度二人でご飯行かない?」
「うん、行こう行こう!」

ただ最初から、私は陸に対して「え?」と思うことになる…。

すぐにやってきた初デート。陸が予約していたのは、溜池山王駅の近くにある、かなりカジュアルなダイニングバーだった。

そもそも、お店のリンクが送られてきた時点で嫌な予感はしていた。でも実際に行ってみると、想像よりもさらに大衆的だった。



「こっちのほうとか来ることある?」
「たまに来るけど…このお店は初めてかも」
「実は僕も初めて来た」
「え、そうなの?」
「うん。あまり店とか知らなくて」

― なるほど…そっちタイプか。

お金を持っていても、食に興味がない人もいる。陸もそのタイプのようだ。

でも私は、“食事”をとても大事にしている。

素敵なお店で、楽しい会話と共に美味しいご飯を食べること。それがデートの醍醐味であり、お互いを知れる第一歩になる。

どんなお店を選ぶのか、どこへ連れていってくれるのか…。デートの勝敗は、店選びのセンスによって変わってくる。

超高級店でなくてもいい。ただセンスが大事なのだ。

でも陸は、私の価値観とは少し違うらしい。

「そうなんだ。食事とかそこまでこだわりない人?」
「そうだね…忙しいから」
「お仕事、そんな忙しいんだ!」
「毎晩、この時間は基本的に仕事をしているかな。夜中まで仕事していることも多いから」
「陸くん、すごいね」

一応陸をおだててみる。ただお店に着いた途端に私の顔はわかりやすく曇っていたのかもしれない。

そのせいか、陸は私の普段の言動を探ってきた。

「莉緒ちゃん、普段は何してるの?…というか、普段はどこで食事することが多い?」
「仕事は普通に事務職だよ。食事は、西麻布とか六本木が多いかな」
「そうなんだ。もしかして莉緒ちゃんって…その、すごいグルメだったりする?」
「どうだろう。美味しいお店が好き。高いお店ももちろん好きだけど、誰と行くかが大事だよね」

― 普段、私がデートしている人たちは、お店選びのセンスが素晴らしかったんだ…。

陸と食事をしながら、いかに自分が恵まれていたのかを悟り始めた。

でも、そういう人たちと比べるのはよくないし、お店選びのセンスば磨けば光る可能性もある。

だから、私は気を取り直して陸と向き合うことにした。しかしこの後も、陸の言動が“なんかダサイ”と思うことが続いた。


A2:いきなり「家へ行きたい」と言う男は完全にナシ


初デートから1週間後。陸から連絡が来たので、2軒目で落ち合うことになった私たち。

「莉緒ちゃん忙しそうだね」
「ううん。今日は、この前いたタカちゃんたちと飲んでたの」
「タカシさんと仲良いんだね」
「仲が良いというか、飲み仲間かな」

そういう関係は一切ないけれど、私の周りには有名な経営者がたくさんいる。でもそれを自慢する気もない。なぜなら、彼らがすごいだけで自分がすごいわけではないから。

それをわきまえているから、経営者のおじさまたちもみんな私と仲良くしているのだと思うが、陸は急にソワソワとし始めた。

「莉緒ちゃんは、十番のどの辺りに住んでるの?」
「二の橋の近くだよ」
「そうなんだ。ひとり暮らし?」
「もちろん」

― あれ…。これって、もしかして私のバックに誰かいると思ってる?



華やかな交流関係に、住んでいる場所は麻布十番。これだけで、私のことを変な港区女子だと誤解する人もいる。

でも実際、私は真面目な港区女子で、誰かの援助は受けていない。ただただ、みんなと楽しく飲んでいるだけのこと。

でも陸はまだ疑っているのか、まさかの「家に行きたい」とか言い始めた。

「莉緒ちゃんって、自炊する人?」
「するよ。でも外食のほうが好きかな」
「今度、莉緒ちゃんの家行ってご飯食べてみたいなー」
「私のご飯?そんな大したものできないと思うけど…」
「なんでも嬉しいよ!」
「…考えておくね」

― あなた、私の彼氏でもないよね?なんで陸を家に入れないといけないの?

女性の家に行きたいという男性は、本当にセンスがないと思う。

しかも陸に限って言うと、まだ2度目のデート。それなのに「ご飯を食べたい」とか言われ、かなり引いてしまった。



「莉緒ちゃんの周りってすごい人ばかりなのに、なんで僕とも飲んでくれるの?」
「陸くんは、話していて面白いから、かな。それにみんな気を使っているのか私を誘ってこないなか、陸くんはグイグイ来たから」
「それって良い意味で?」
「うん、もちろん。そうじゃないと会わないよ」

陸の良いところは、ある意味無神経でまっすぐ来てくれるところ。でもその猪突猛進さが、若干ずれている。

そして絶妙なダサさが、会話やお店選びに出てしまっているように思う。

「莉緒ちゃん、来週は忙しい?」
「来週はちょっと飲みが続いているかも。でも今日みたいに遅くからだったら会えるよ」
「本当?じゃあ来週も会いたい」

友達としてはいいかもしれないけれど、恋人になりたいかと言われたら違う。私の求めるレベルが高いのか、それともただ陸にセンスがないのか…。

だから私は、彼を一旦“キープ”枠に置いておくことにした。


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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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男が婚約破棄をされた理由