TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜6:59〜)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、新宿・歌舞伎町のトー横で警視庁が少年少女31人を補導した件について取り上げました。

◆トー横にいる子どもたち、そこから引き離すべきなのか?

警視庁は4月7日、春休み期間中に新宿・歌舞伎町の“トー横”と言われる一角やその周辺で過ごしていた11〜18歳の少年少女、合わせて31人を補導したと発表。その約8割に当たる25人は東京都外の10道府県の出身者で、なかにはアジア圏の外国から訪れた14歳の少女もいたということです。警視庁は買春やオーバードーズ(薬の過剰摂取)に関わりやすくなるケースが十分に認識されていないと指摘。歌舞伎町にいる悪意を持った大人から子どもを守るため、水際対策として補導を継続していく方針です。

このトピックに対し、ノンフィクションライターの吉川ばんびさんは「補導するのはいいが、その後どう継続的にケアに繋げていくかが重要」と自身の考えを述べます。

というのも、今回補導された少年少女は親か本人が希望すれば心理職の方に相談することができたものの、31人のうちそれを希望したのは僅か1人だけで、吉川さんは「親や本人も含めて、どれくらいケアが必要なことなのか、今どういう状況にあるのかといった認識不足が否めない。そういう人たちに積極的にアプローチする仕組みが必要」と懸念します。

キャスターの堀潤は、トー横に行くこと、トー横にいることを問題視し、子どもたちをそこから引き離すだけでいいのか。やもすると、それが適切な手段ではないのではないかと苦慮。

◆トー横問題に取り組む大空幸星の見解は?

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、行政とともにトー横の問題に取り組んできた経験を経て行き着いたひとつの結論として、堀の意見に賛同。

大空さんは「要はトー横とはなんなのか。家が安全でないから行っている人もいれば、単純に居場所として機能している人もいる」とその存在意義を示しつつ、「トー横で活動しているNPOの人たちからは、普通の子どもがほとんどで、ケアを必要としている子どもはあまりいないという話も聞こえてくる」と言います。その上で、「だから、そういった子たちを包括する場所としてあの場があるのは健全なことだと思う」とも。

しかし、保護が必要な子がいるのも事実です。大空さん曰く、政府は2024年度から家出した若者らが緊急避難できる「こども若者シェルター」という取り組みがスタートしたそうで、「これはいろいろな形を想定しているが、いわゆるトー横でも家でもない、その真ん中の場所。大人が作る安全な場所で心理職や弁護士もいる。(子どもたちには)こうした場所に集まってほしいと、選択肢を提示すべき。トー横と家の二項対立で議論されるが、もっとグラデーションの中間のような部分があっていいと思う」と持論を述べます。さらにはトー横にいる子どもたちに対しても「みんなケアしないといけない支援対象なわけではない」と指摘します。

脳科学者で理学博士の茂木健一郎さんは、「脳を研究している立場から言うと、子どもはやはり大人に影響を受ける」と言い、「地方都市にはトー横や歌舞伎町のようなものはない。要するに(トー横は)大人の社会の反映で、大人たちがどういう文化を持っているかで変わる」と主張。さらに、茂木さんはトー横が話題になっていること自体うんざりしているとし、「世の中にはもっと伝えるべきことがあるし、トー横(に注目するの)はもういいんじゃないか」との声も。

この意見に対し、大空さんは「(子どもが)大人の価値観を反映しているというのはおっしゃる通り」と同意しつつ、一方で報道抑制には異論を唱えます。「トー横が報道されるようになり、観光客みたいな形で集まっている子どももいるが、同じような境遇で育った子が周りにいることで安心する子どももいる。だから報道をし続けることも大事」とその理由を明かしつつ、「ただ、バンビさんが言ったように“その後の出口”をちゃんと確保した上で報道しないといけない」と報道の仕方について注意を促していました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 6:59〜8:30 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組X(旧Twitter):@morning_flag番組Instagram:@morning_flag