1月期ドラマで話題となった主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎による「不適切にもほどがある!」(TBS系)が、早くも〝続編〟の動きを見せている。大きな制作費がかかる連ドラや映画ではなく、配信形式のスピンオフ作品で模索されているという。

 3月29日に最終回を迎えた同ドラマ。1986年から現代にタイムスリップした〝昭和のダメおやじ〟の「不適切」発言が、コンプライアンスで縛られた令和の空気をかき回すオリジナルストーリーだ。「多様性」「働き方改革」「セクハラ」など社会的なテーマをコミカルに描き、視聴者をとりこにしていった。

 全10話の平均世帯視聴率は7・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)にとどまったが、SNS上で大きな話題になったのは記憶に新しい。実際、民放公式テレビ配信サービス「TVer」では、第1話無料配信の再生回数は金曜ドラマ枠歴代トップを記録した。

「Tverは3月の月間動画再生回数が4億5000万回を超え、過去最高記録を更新したが、『不適切にもほどがある!』もけん引した。今は配信全盛の時代で、民放各局は見逃し配信も重視しています。地上波より視聴者層も若く、広告価値が増しているからです。局内では、制作費の負担が大きく、リスクのある映画化や連ドラとしての続編といった大型プロジェクトというよりは、配信を前提としたスピンオフ制作が水面下で模索されています」(TBS関係者)

 たしかに同ドラマの最終回では、登場人物のムッチ先輩(磯村勇斗)と純子(河合優実)の友人・明美(鈴木こころ)、令和では、渚(仲里依紗)と秋津(磯村勇斗)が結ばれた。さらに、テレビ局勤務の瓜生(板倉俊之)は、「パートナーシップ宣誓制度」を利用し、IT関係の会社に勤める竹田(赤羽健壱)と同性婚をするなど次々にカップルが誕生。「それぞれのカップルでスピンオフを!」と期待する声であふれた。

「視聴率が低迷する中で、TVerの月間の動画再生数は、前年同月と比べて140%強のペースで伸び続けている。TVerで配信することが前提でドラマ制作をする時代が近い。それを考えれば、続編はスピンオフという形で、と手堅くという考えも理解できる」(同)

 テレビ中心の視聴者からすれば残念かもしれないが、ドラマ界の新たな常識になるかもしれない。