性的暴行などの罪で禁錮23年を言い渡した一審判決を米ニューヨーク州最高裁が25日破棄し、再審を求めた裁判の被告、ハリウッドの元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン受刑者(72)が27日、ニューヨーク市内の病院に入院したことが分かった。

 米ニュースサイト「TMZ」などによると、弱々しい足取りで歩行器を使いながら最高裁に出廷したワインスタイン受刑者は、判決後に刑務所内の医療施設で診察を受け、同市ベルビュー病院に搬送されて治療を受けているという。同受刑者の弁護人によると、健康状態は「悲惨な状況」だと明かした。

 2020年の一審判決を破棄した理由について同州最高裁は、起訴対象の被害者のほかにも「被害を受けた」とする複数の女性の証言を一審の裁判官が認めたのは、被告の権利を侵害したと判断。不適切な証人出廷など一審の手続きに「重大な誤り」があったとして再審を求めた。同最高裁7人の判事のうち4人による多数意見で、3人が反対した。

 この判断について、ロサンゼルス郡地方検事局はTMZに、カリフォルニア州法に基づけば、このような逆転判断が下されることはあり得ないと断言。性的暴行を巡る裁判では、裁判官の裁量で、別の裁判の〝性癖的証拠〟を採用することも合法だと指摘した。

 ワインスタイン受刑者は22年、カリフォルニア州の裁判所でも性的暴行の罪で禁錮16年を言い渡された。

 同受刑者を巡るセクハラ疑惑は2017年に発覚。これを機に被害を告発する「#MeToo」運動が世界的に広がった。