イギリス公共放送BBCで放送された故ジャニー喜多川氏の性加害問題の番組について、SMILE―UP.が謝罪と訂正を求めて抗議したことを受け、BBCは3日に声明を発表した。

 BBCは3月30日の番組「捕食者の影 ジャニーズ解体のその後」内で、SMILE社の東山紀之社長に実施したインタビューを放送。被害を申告した人へ寄せられる誹謗中傷について、東山は「表現の自由もある」などと発言。ネットで「勉強不足だ」などと指摘する声が相次ぎ、炎上していた。

 するとSMILE社は4月25日、BBCに抗議文書を送ったことを報告。番組の映像と、東山の取材時に録音した音声を比較検証し、東山の発言が省略されているということで「東山の発言を意図的にゆがめて放送し、視聴者の印象を操作しようとするもの」などと主張。謝罪と訂正を求めていた。

 これを受け、BBCは3日に「SMILE社の主張を否定する」との声明を発表。

 番組について「BBCの厳格な編集ガイドラインに沿って綿密に調査され、報道されました」と説明し「BBCは、編集上の決定に際して常に慎重な検討を重ねており、東山氏を含むすべての取材対象者が公平かつ正確に描写され、必要なすべての反論機会が与えられるよう配慮しました」と反論した。

 問題となっているBBC番組内での東山の発言は、今後に大きく影響しかねない。日本におけるビジネスと人権をめぐる問題を調査するため昨夏に来日した国連の作業部会は今年に入って被害者らに再ヒアリングを行い、現在の状況について聞き取りを実施。6月ごろに取りまとめたものを発表する予定だ。

 実際にヒアリングを受けた人は「SMILE社が本当にエンターテインメントビジネスから切り離された補償業務を行う会社になっているかについて疑問があることや、被害補償の問題点、それから酷い誹謗中傷が寄せられる状況が続いていることついても伝えました」と明かした。

 被害者の訴えを受けて、補償状況だけではなく、誹謗中傷対策も国連の取りまとめに盛り込まれる可能性がある。「その場合は、BBCでの東山社長の発言が問題視されるのは避けられません」(芸能プロ関係者)

 テレビ各局や広告業界は新事務所STARTO ENTERTAINMENTに移籍した旧ジャニーズ事務所のタレントを起用するにあたって、SMILE社の補償業務の進捗を注視している。6月の国連の取りまとめが大きな判断材料になることは間違いなく、そこに東山のBBC発言が掲載されればマイナスでしかない。SMILE社は抗議文書を送って訂正と謝罪を要請したが、BBCは突っぱねた。SMILE社の次なる一手は――。