中日・井上一樹二軍監督(52)をドラゴンズ応援大使を務めるアイドルグループ「SKE48」の熊崎晴香(26)が直撃。熱血二軍指揮官の激アツインタビューを前・後編の2回にわたってお届けする。中日二軍は現在、ウエスタンリーグで首位争いを演じているが好調の要因は? さらに来日8年目で初の二軍スタートとなっているダヤン・ビシエド内野手(35)についても聞いた。

【中日・井上一樹二軍監督〝激アツ〟インタビュー 前編】

 熊崎 中日の二軍が好調です(※6日現在21勝14敗2分けで首位・ソフトバンクと1・5ゲーム差の3位)。

 井上監督(以下、井上) 選手には勝つ意識を持てという話をしている。相手がいいピッチャーだったからしゃあないとか、経験の浅い選手だからしゃあないとかはない。成績でモチベーションも変わるし、負けに慣れてしまってる体質を変えてないといけない。一軍に行った時に「俺は何をすればいいんだろう」って迷うことがあっちゃダメなんです。「代走で出たこの場面だったら俺に求められているものは、三塁まで進まなきゃいけない」とか「俺に守備の出番があるかもしれない」というように、常にくるくるアンテナを回してほしい。勝つためのどこかのピースになれるんじゃないかということを考えさせる上で、まずは二軍で勝ちへの意識、自分の必要性、どうやったら自分は出場できるかってことを常に意識として持たせたい。今日もミーティングをやった時にも「みんな試合出たいんだろ」「出たくない奴いるか」っていうことをあえて言った。みんな出たいに決まってる。試合に出たい、出たあかつきには何をする。チャレンジをしてできないんだったら、それはもう鍛錬しかないよっていう。それの繰り返しなんだろうね。

 熊崎 一軍に上がってチーム初の完投勝利を挙げた松葉投手も、井上監督が沖縄二軍キャンプのMVPにされていた。井上監督がそうやって選手を燃えさせているのが(二軍の)チームが今、好調な理由なのでは?

 井上 人それぞれ性格ってある。昔の小学校、中学校の頃を思い出せば、すごく目立つひょうきんな子や、ガキ大将のような子とかいたじゃない。それはね、どのチームにもいると思うんですよ。だから、チームがちょっとおとなしいなっていう時にあえてそいつをつつくというか、そこから波紋のように広がっていく相乗効果っていうのはすごく使うようにしてるよね。「それぐらいしかできないの?」とか「そんな遅いスイングしかできないの?」みたいなことであえてあおるというか、そうすると「そんなことないです」「見てください」ってなるでしょ。

 熊崎 一つ一つの試合で「負けたら悔しい」「勝ったらうれしい」「また勝ちたい」「また出たい」って選手が熱くなっているのは、ファンとしてもすごくうれしいですし、見てて楽しいです。井上監督のそういう熱さがめちゃめちゃ大好きだなって思います。

 井上 俺の仕事はそれだけなんですよ。技術的なアドバイスはしますけど、それだけじゃなくてしょぼくれてる選手がいれば、そいつをヤル気にさせるためにはどうすればいいかなとか。試合に出れない選手に「あれだけ頑張ってるからチャンスを与えなきゃな」っていう目配りや気配りをしないといけないと思っている。みんなを一生懸命うちわであおいで踊らせるっていうことに徹すれば活気のあるチーム、外から見ていても楽しいチームになるのかなって思う。オレもお高くとまるつもりは全然なくて、ベンチでも移動するときでも練習の時でも(選手たちと)ジョークを交えながらやっています。

 熊崎 見ていてもベンチが明るくて雰囲気がいい感じが伝わってきます。今日は根尾投手がナイスピッチングでした(※このインタビューは根尾が8回1失点で2勝目を挙げた4月30日のくふうハヤテ戦後に行われた)。

 井上 今日はテンポも良かったし、まずまずのピッチングで、それなりにまとまっていた。前回(3回6失点で敗戦投手となった4月23日の阪神戦)と比べるとだいぶビッチャーらしくなってきたかなっていう感じですね。

 熊崎 今日のような投球が続けば…。

 井上 そうだね。(根尾は)ピッチングが飛び抜けてうまいわけでもないし、ストレートが飛び抜けて速いわけでもない。じゃあどこでカバーするのかと言ったら、まとまった投球、安定感が出てきましたよっていうところでアピールしてほしい。そこが続けられていけば道が開いていく(※根尾は5日に一軍昇格)。

 熊崎 ビシエド選手は来日8年目で初めて二軍スタートになりましたが、状態も良くなっているように思います(6日時点で打率3割1分2厘、3本塁打、6打点)。井上監督はどのようにご覧になっていますか。

 井上 俺の仕事はビシエドをちょっとこう、なんだろうな、熟してきた柿が木から落ちそうになってるところを「落ちたらあかん、落ちたらあかん」って、一生懸命落とさないようにすること。ボトって落ちちゃったらあかんから。普段からコミュニケーションを取りながら、彼のモチベーションを維持していく。一軍もずっと順風満帆に行くかはわからないので、ビシエドが欲しいと言われた時に「すみません。今ちょっとこういう状態なんですわ」ってこちらが推薦できないようなことはあってはいけないからね。交流戦もあるし、例えば中田翔が疲れて「ちょっとやばいよ」っていうような時があったり、どんな場面が来るかわからない。「お前の力が必要なんだ」という形でやっていくだけです。

 熊崎 ビシエド選手は一生懸命やっていますよね。

 井上 しっかりやってくれている。表情を見てればわかるけど、良い表情でやっているので大丈夫ですよ。