ドジャースの大谷翔平投手(29)が5月に入り絶好調だ。現地時間6日時点で打率3割7分、11本塁打はともにメジャートップ、27打点はナ・リーグ3位でトップと6打点差だ。そんな姿を昨年まで所属していたエンゼルス時代の番記者たちはどう見るか。オレンジカウンティー・レジスター紙のジェフ・フレッチャー記者、MLB公式サイトのレット・ボーリンジャー記者、米スポーツサイト、アスレチックのサム・ブラム記者に3冠王、MVPの可能性を徹底討論してもらった。

 ――大谷の打撃を見て、何を期待するか

 フレッチャー シーズンが終わった時にどんな数字になっているかが見ものだね。

 ボーリンジャー しかし、2度目のトミー・ジョン手術の後にこんなに早く復帰して活躍しているのは見事だと思う。リカバリータイムにもっとかかると思っていたが、手術したことを忘れてしまいそうな勢い。

 ブラム 一平の出来事があった後、彼のルーティンの大きな部分がなくなりどうなるか興味があったし、そもそもチームを移り、環境も変わり、メディアの対応も変わるなど、本当に多くの変化の中で、最初だけ少しスローだったけど、1か月でそれなりの数字を残していることは見事だと思う。

 ――3冠王の可能性は

 フレッチャー 難しいと思う。

 ブラム 難しいと思う。本塁打王なら可能性があると思うけど…もしDHでMVPが取れたらすごい。

 フレッチャー 3冠王よりMVPの方が取るのが難しい。それは誰もやったことがない。一度も守備をやらずにMVPを取るには65本塁打、170打点が必要だと思う。

 ボーリンジャー そこまで必要かは分からないけど、同じチームのムーキー(ベッツ)は遊撃手も二塁手もやりながらよく打つから、「価値」という意味では彼の方が上かもしれない。だから奇想天外な数字なしでは難しいだろう。

 ――投手をやらずにDHのみでMVPの可能性

 3人 難しい!

 ブラム ムーキー・ベッツの方がMVPの可能性は高いだろう。

 ボーリンジャー エドガー・マルティネス、デビッド・オルティスの例を見るとよく分かる。

 フレッチャー エドガー・マルティネスは1995年に打率3割5分6厘、OPS1・100だったが(MVP)投票で3位。

 ボーリンジャー オルティスも2005年、47本塁打と148打点で2位。翌年54本塁打と137打点で3位だった。しかも彼らは数は少なくとも守備にも就いている。

 フレッチャー 投手をする必要はないが、野手をしないと「価値」を見いだすのが難しい。外野で50試合くらい出られたら可能性はあるが、(右ヒジのリハビリで)球を投げられない。

 ボーリンジャー だから、ほぼ不可能と言っても良いかもしれない。

 フレッチャー 大谷がたとえMVPを取れなくても、我々は皆、彼が好きさ。

 ――3冠王を取ったら多少の可能性はあるか

 ボーリンジャー カブレラが取った時は、多くの人が3冠王を取ったことを称賛した。マイク・トラウトの方が数字としては良かったかもしれないけど、3冠王が影響した。

 フレッチャー ただ、カブレラは守備にも就いていた。

 ボーリンジャー 確かにそうだが、3冠王を取ったことは大きかった。

 フレッチャー 問題はWARだね。大谷はそこで減点されてしまうから、ムーキーにかなうかどうか。しかも、スター選手揃いの中でやっていることで投票者は、大谷だけの功績と思ってくれないかもしれない。

 ブラム 投票者というのは、不思議だよね。22年の時は、彼が弱いチームにいるからという理由で低くつけたケースもあった。私は、彼がMVPを取るのに打撃タイトルは必要ないと思っているけどね。本当に世界最高の野球選手だと思うから。