阪神は16日の中日戦(バンテリン)に9―4で完勝。2カード連続の勝ち越しを決め、単独首位の座に返り咲いた。

 1番に井上、3番に近本、4番に原口、5番に糸原を置く打線大シャッフルにひとまず成功した岡田彰布監督(66)だが、試合後の表情はドンヨリ。その理由はこの日、自身の政権下で初めてスタメンから外した主砲・大山の低調ぶりだ。6回の守備から途中出場し、8回に打席が回ってきたが、変化球にタイミングがまるで合わず3球三振。「打席見たら分かるやんか。何もあってないやんか。当たらへんもんなあ」とボヤキ節が止まることはなかった。

 そんな指揮官が、ようやく少しだけ相好を崩したのは、9回にリリーフ登板した桐敷拓馬投手の話題に移ってからだ。発熱の影響で5日間、戦線を離脱していたこともあり慎重に実戦復帰のタイミングを計っていたところだったが、9―2と7点リードの最終回で出番を与えることが可能となった。

 久々の実戦マウンドということもあり、桐敷は1回2安打2失点の内容でゲームをクローズ。抜群の制球力を誇る左腕だが、先頭打者の村松を四球で歩かせてしまったことが失点に直結してしまった。

 岡田監督は「最後に桐敷投げさせることができて良かったわ。いきなりあんな四球出すからな。出すんやろな。ちょっと感覚が違うんやろな。まあ良かったわ」と策士らしくニヤリ。〝スペードのエース〟と自ら命名したチームのセットアッパーは、虎の強さの本丸である強固なブルペン陣の切り札的存在。大差リードという理想的なシチュエーションで本格的な戦線復帰への〝調整登板〟ができた意味合いは大きかったのだろう。