〝台風の目〟だ。大相撲夏場所6日目(17日、東京・両国国技館)、新小結大の里(23=二所ノ関)が大関琴桜(26=佐渡ヶ嶽)を撃破して4連勝。右を差して素早く体を寄せると、そのまま前へ出て寄り切った。

 新三役の場所で、いきなり1横綱2大関を撃破。取組後は「体が動いていたので良かった。番付が上がって、上位総当たり。(格上と対戦する)前半は厳しい戦いになると思ったけど、いいと思います」と胸を張った。

 琴桜との過去の対戦成績は0勝2敗。場所前には、千葉・松戸の佐渡ヶ嶽部屋へ出稽古し、大関に胸を借りた。初勝利で〝恩返し〟を果たした大の里は「2回負けているので、同じ失敗はしないように心掛けた。(本場所で)勝てないと意味がない。今日勝てたのは大きい」とうなずいた。

 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「大の里の圧力が強かった。安定感がある。今日も焦って出ていないし、相撲が落ち着いてきた。馬力がある。(相手に研究されても)馬力は止められないから」と高評価を与えた。

 これで5勝1敗とし、全勝で単独首位の幕内宇良(木瀬)を1差で追走。「優勝争い? まだ、早いっす(笑い)。まだ前半ですし、考えられない。一日一番、集中して頑張ります」と気持ちを引き締めた。新小結の優勝は1957年5月場所の安念山のみ。このまま星を伸ばしていけば、67年ぶりの快挙も夢ではない。