青森県内で唯一、放流用のアユの稚魚を生産している鯵ケ沢町は20日、県内向けに今年の出荷を始めた。初日は地元の赤石川向けに計約3万匹を出荷。町内の園児たち23人がお手伝いし、「大きくなーれ」と声をかけながら、稚魚をそっと川に放した。

 今年は、7月1日のアユ釣り解禁に向け、県内20河川22団体に前年並みの28万匹余りを出荷予定。出荷は6月上旬まで続く。

 20日は、同町赤石町のアユ中間育成施設で、町職員たちが朝から、飼育池から稚魚をざるですくい取ってバケツに入れ、トラックの荷台に設置した水槽にせっせと移していった。

 その後、同町南金沢地区の河川敷で行われた放流式では、集まった園児たちに、町農林水産課水産班の加藤信行班長が「赤石川で育ったアユは金アユと呼ばれ、とてもおいしい魚です。大きくなってねと願いを込めて放流してください」と呼びかけた。

 園児たちは、稚魚が入った小さなバケツを手に先生たちと一緒に川岸に近づき、何度も放流。稚魚が元気に泳ぎ出すのを見守っていた。たていし愛児園の年長児中村心珀(こはく)ちゃん(5)は「魚はかわいい。元気よく大きくなってね」と話していた。

 今年出荷されるアユは、昨秋の採卵時期の猛暑や高水温の影響が懸念されたが、順調に成長。今月1日には体長10センチ、体重6〜8グラムほどになった。県内各河川に放流後、アユ釣りが解禁される7月1日に体長は17センチ以上になるという。