GⅠ馬8頭が豪華競演
GⅠ馬8頭が豪華競演

有馬記念2023

[GⅠ有馬記念=2023年12月24日(日曜)3歳上、中山競馬場・芝内2500メートル]

 すべてのホースマンが目指す頂点は〝日本ダービー〟だが、世間的な認知度は暮れの風物詩としてすっかり定着している、このグランプリレースのほうが上位だろう。ファン投票によって出走馬(上位10頭)が決まるという特殊性やトリッキーなコース設定。さらに一年を締めくくるという立ち位置が演出する、シナリオのない名勝負がこれまで繰り広げられてきた。

 今年の投票1位イクイノックス、2位リバティアイランドは不在だが、8頭のGⅠが出走予定(ドゥラエレーデ=回避予定)と豪華メンバーが1着賞金5億円をかけて師走のターフで雌雄を決する。

 登録馬の中でファン投票最上位は3位のジャスティンパレス(牡4・杉山晴)。昨年の当レースでは初対戦となった古馬の壁にはね返され7着に終わったが、今年4戦で4着以下はなく、天皇賞・春では待望のGⅠ初制覇を達成した。宝塚記念(3着)、天皇賞・秋(2着)で苦杯をなめさせられたイクイノックスはすでに引退とあれば、頂点の座はすぐそこにある。

 一方、ファン投票4位のタイトルホルダー(牡5・栗田)は当レースがラストランでレース当日に引退式を行う。GⅠ3勝と実績はメンバーでも最上位だが、この有馬記念に限っては5→9着と結果を残せていない。ただ、同舞台のGⅡ日経賞を連覇を達成しており適性に不安は皆無。果たして有終の美を飾れるか。

 5、6位は3歳馬がランクイン。ソールオリエンス(牡・手塚)は無敗でGⅠ皐月賞を制覇した時点で〝1強ムード〟も漂ったが、以降はまさかの3連敗…。それでも3着は外しておらず、ポテンシャルに疑念の余地はない。2勝、2着1回と得意の中山で古馬を撃破できるか? タスティエーラ(牡・堀)は皐月賞(2着)のリベンジをGⅠダービーで達成。ただし、ぶっつけで臨んだGⅠ菊花賞はドゥレッツァから0秒6差の2着と絶対的な地位は築けなかった。レーン→モレイラとつないだバトンを受け継いだムーアの手綱さばきに注目が集まる。

 7位のドウデュース(牡4・友道)は昨年のダービー馬。今年はGⅡ京都記念を快勝し好スタートを切ったかに見えたが、続くGⅠドバイターフを取り消し流れが狂ってしまった感も。それでも前走のGⅠジャパンCは4着と復調をアピール。主戦・武豊に手綱が戻り完全復活が期待される。

まだまだいる有力馬

 有力候補はまだまだ点在する。13位のスターズオンアース(牝4・高柳瑞)は昨年の2冠牝馬。今年は3戦未勝利ながらすべてGⅠで複勝圏を確保し、前走・ジャパンCはイクイノックス相手に3着と健闘した。課題は3歳1月のGⅢフェアリーS(2着)以来となる中山コースの克服か。ルメールを配し、1年7か月ぶりの戴冠を目指す。

 シャフリヤール(牡5・藤原)は46位と登録馬中上位10頭に入らなかったが、一昨年のダービー馬の実力は世界レベルだ。予定していた香港ヴァーズを回避後は12日に帰国。JRA競馬学校(千葉県白井市)で着地検疫後、18日に中山競馬場に移動し調整される。初めての中山コースも全兄は皐月賞馬のアルアイン。ポテンシャルを発揮できるようならここでも。

 同36位ウインマリリン(牝6・手塚)は昨年の香港ヴァーズでGⅠ初制覇を達成。前走はアメリカに遠征しBCフィリーズ&メアターフで4着に善戦した。当舞台では21年に日経賞を制しており、ラストランで激走があるかも?

 GⅠホース以外での筆頭は19位スルーセブンシーズ(牝5・尾関)だ。獲得タイトルはGⅢ中山牝馬Sだけだが、GⅠ宝塚記念でイクイノックス相手のクビ差2着に健闘すると、GⅠ凱旋門賞でも世界のトップクラスを相手に4着善戦。父ドリームジャーニーは09年に宝塚→有馬のグランプリ連覇を達成。娘のグランプリ連続好走もありそうだ。

著者:東スポ競馬編集部