ヴィクトリアマイル2024

[GⅠヴィクトリアマイル=2024年5月12日(日曜)4歳上牝、東京競馬場・芝1600メートル]

 今週日曜(12日)の東京競馬場では春のマイル女王決定戦・GⅠヴィクトリアマイルが行われる。過去10年で1番人気馬の勝利はわずか2勝と波乱含みの一戦となれば穴馬発掘に全力投球を続ける当欄の出番。狙いは4歳馬ドゥアイズだ。安定はしているが重賞ではもうワンパンチ――戦績から受ける〝善戦マン〟のイメージとは裏腹に、同馬の心身の成長は女王襲名にふさわしい上昇曲線を描いているという。

 例えば逆上がりや自転車の運転などがそうであるように、技術や経験がある一定のレベルに達するとそれまでできなかったことが自然と反復できるようになる。 

 ヴィクトリアマイルに出走するドゥアイズにとっての〝その瞬間〟は2023年秋華賞での最終追いだったという。落ち着いた雰囲気、バランスの取れたフットワーク、ゆったり走っているようでラスト11・3秒と切れた直線の動き。その内容はどれを取っても素晴らしく、鞍上が思わずゴール手前で馬の首筋をなでずにいられなくなるほど。この時を境に動きの質を一段上げたルーラーシップ産駒は、今年に入ってさらに右肩上がりの成長を描いているのだ。

「以前に比べて体に芯が入り、中身がドッシリしてきた。その分、競馬や追い切りの後でも全然疲れを見せないし、馬が傷まなくなってきた」と話すのは庄野調教師。その背景を知れば「順調」というありきたりなフレーズでさえ、褒め言葉に感じるほどの充実ぶり。牡馬をねじ伏せて約1年半ぶりの勝利を手にしたオープン・洛陽Sの走りがそれを裏付けており、前走・阪神牝馬S(5着)についても出遅れ→スローの瞬発力勝負と敗因がハッキリしているだけに見直す価値は十二分にある。

「少し折り合いに難しいところがあると聞いていましたが、スムーズに走れていました。しまいも思った以上に切れましたね。この重い馬場で(ラスト1ハロン)11・6秒なら十分です」。1日の1週前追いで初コンタクトを取った鮫島駿がこう好感触を伝えたように、体が整ってきたことで精神的に余裕が出てきたのも見逃せないポイントのひとつ。3冠牝馬リバティアイランドなど同世代の強力ライバルたちにモマれながら着々と力をつけてきた素質馬が、待望のGⅠタイトルを視界に入れている。

 もちろん、条件面にも不足はない。切れ味も増してきたとはいえ、同馬の良さは長くいい脚を使える持続力。ゆえに「東京マイルは合いそうなイメージ。実際にクイーンC2着と走れてもいますから」(鮫島駿)。まだ良化の余地を残していた3歳春に重賞でV争いを演じた舞台。1年を経て心身ともに成長したドゥアイズがどんなパフォーマンスを見せてくれるか、その走りから目が離せない。

心身ともに劇的な成長を遂げているドゥアイズ
心身ともに劇的な成長を遂げているドゥアイズ

☆ドゥアイズ(馬名)曲名。母名および本馬の特徴より連想。待望のGⅠ初制覇へ、仕上がりに不足なし。充実一途の4歳牝馬が東京マイルで勝利の凱歌を奏でてみせる。

著者:東スポ競馬編集部