オークス2024

[GⅠオークス=2024年5月19日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2400メートル]

 今週の東京メインは牝馬クラシック第2弾・オークス(19日=芝2400メートル)。22、23年と春2冠馬が誕生しており、距離を含めた舞台設定は大きく替われど桜花賞組が圧倒的に強いレースだが…。ただ、一方で人気の盲点となる他路線組の食い込みが高配当につながることも。その候補として白羽の矢を立てたのは精神面の成長著しいミアネーロだ。

 3歳牝馬の頂点を決めるオークスは、桜花賞から一気の距離延長で、体力のみならず精神力の強さも試される。それはレース中だけではない。大観衆を前にしたスタンド前発走という関門もクリアする必要がある。

 思い出されるのが2年前の当レースだ。スタート前の輪乗りで、他馬に顔を蹴られたサウンドビバーチェが騎手を振り落とし放馬。過去最長の15分遅れ(グレード制導入以降)となった。1番人気に推された阪神JF覇者サークルオブライフはレース前に激しく発汗して12着の凡走。一方、勝ち馬のスターズオンアースは悠然と構えていつもの力を発揮した。

 さて、ミアネーロの初戦は直線で津村のステッキに過剰反応して斜行。2着馬の進路をふさいでしまい、5分の審議の末に降着なしの勝利となった。“メンタル”にスポットを当てると、この馬こそ大舞台のスタンド前発走は不安に映るが…。

 ただ、林調教師は他馬に迷惑をかけたことを猛省。牧場と連携し時間をかけてじっくり立て直した。そして努力が結実したのが同じくスタンド前発走の前走のフラワーCだった。ラチの修理という珍事のため発走が6分遅れるハプニングを耐え抜き、直線で内からノーステッキのまま抜け出して完勝した。「前走はよく我慢が利きました。中間は順調で入厩時から動きは申し分ないですし、終始落ち着いていますね。馬場に入れてハッキングの段階から以前とは違います」と同師。

 1週前追いでは気を抜くことなく、ゴールを過ぎても加速し続けた。主戦の津村は「前走はいい経験ができたが、GⅠはまた違うから」と言いつつも「左右差がないので左回りは心配ない。落ち着いており、距離はむしろ長くていい。初の東京コースで期待しているし、勝てると思って乗っている」と自信を口にした。先週のヴィクトリアマイルではブービー人気のテンハッピーローズで劇的V。晴れてGⅠジョッキーの仲間入りを果たした鞍上の勢いも怖い。

 過去10年は桜花賞組が7勝、忘れな草賞組が2勝、フローラS組が1勝で、フラワーC組はゼロ。馬券に絡んだのは10年でわずか1頭だけとデータ上は分が悪い。だが、この馬には一戦ごとに着実に弱点を克服してきた強みがある。メンタル強化の効果でドゥラメンテ産駒の危うさを爆発力に変えることができた時、真っ先にゴールを駆け抜けるのは彼女だろう。

精神的に成長したミアネーロが高配当の使者となるか
精神的に成長したミアネーロが高配当の使者となるか

 ☆ミアネーロ(馬名)スペイン語で「私の憧れ」。母は米GⅠ勝ちのミスエーニョ(私の夢)。半姉にファンタジーS勝ちのミスエルテ(私の幸運)がいる。夢であり、憧れだった樫の大舞台で、幸運の女神がほほ笑むのはこの馬だ。

著者:東スポ競馬編集部