日本各地の美術館やギャラリーで活躍する30人以上のアーティストたちによる美術展「HAKOBUNE〜放射されるアート〜」が、旧諸磯青少年センターで開かれている。三浦からは倉重光則さん、勝又豊子さん、山岡俊平さんが参加。普段は個々に異なる表現を追求している彼らだが、つながった空間を介して互いに作用し合う面白さを提示している。

1988年に児童館として開設した会場は、鉄筋コンクリート造り2階建て。2014年からは地元自治会の諸磯区に譲渡され、地域住民の催しなどで利用されている。

老朽化した建物の前を散歩で通りがかった際に「自分と重なった」という倉重さん。「美術展をしてみたらどうだろう」と知り合いの作家に声を掛け、コロナ禍で約2年の準備を経て実現した。

それぞれの作家が展示する部屋を決めたり、作品を持ち寄ったりする姿を見て「新たなスタートが切れるような気がして」と、タイトルは「ノアの方舟」から取った。

ボロボロの扉、朽ち落ちた天井、くすんだ壁などはあえて残した。「ここへ来た人たちの思い出を消したくなかった。無垢な場にはない良さがある」。空間全体を作品として表現する「インスタレーション」と呼ばれる手法ともマッチした。

施設内には一風変わった作品がずらり。倉重さんは、一室に空のダンボールをいくつも並べ、砂浜の映像を流した。元美術の非常勤講師だった勝又さんは、アトリエに「鉛の部屋」を作り、防護服らしき姿の人物を写真撮影。大きな額の中に落とし込んだ。山岡さんは『コンストラクションフォーシー』(海のための構造体)と題し、窓辺に四角いフレームを設置。先には海が望める。

会期は7月9日まで。土・日曜のみ。午前11時〜午後6時。問い合わせは勝又さん【携帯電話】090・4670・1194