多摩警察署によると、区内の2023年の刑法犯認知件数は910件で、前年から225件増えた。中でも自転車盗は前年比94件増の331件と全体の3分の1以上を占めており同署は注意を呼びかけている。新型コロナ5類移行に伴い、社会活動が活発化したことが背景にあるとみている。

コロナ前の18年の刑法犯認知件数は1071件だった。同署の筧貴弘副署長は「5類移行で、日常生活が戻った。犯罪件数もコロナ前の水準に近くなっている」と話す。特殊詐欺は34件(前年比23件減)、不同意わいせつは8件(同5件減)と減少した一方、空き巣が21件(同17件増)、強盗は4件(同3件増)と増えた。

その中でも特に深刻なのは自転車盗で331件あった。被害を減らそうと同署では昨年10月から12月に、発生の多い向ヶ丘遊園駅周辺で、警察官が自転車の施錠を呼びかけるタグを付けるなどの活動を実施。今年も継続していく予定だという。

また、無施錠のまま置いてある自転車が盗まれていることが多いことから、「施錠することが被害防止の一歩」であることを伝える啓発チラシ約1万部を春ごろに新聞に折り込む予定だ。筧副署長は「わずかの時間でも注意が必要。自宅でもカギをかける。できれば、2カ所カギをかけるダブルロックをしてほしい」と呼びかけた。

人身事故も増加

加えて、人身交通事故発生件数も419件(前年比46件増)、負傷者数も484人(同55人増)と増加がみられた。死者数は2人減り1人だった。「外出が増え、交通量が増えたことが要因」と筧副署長。関係事故別に見ると、二輪車(オートバイ)144件(同26件増)、自転車141件(同19件増)、歩行者88件(同18件増)だった。

二輪車を同署前で呼び止め、プレートを使用して視覚的に交通安全教育を実施するなどの対策を昨年行ったという。

自転車は、小学校低学年を中心に交通安全教室を行うほか、スーパーなどでチラシを配布し、「道路の左側を走る」「信号無視をしない」「一時停止する」などの交通ルールを守ることが事故を防ぐということを継続的に広く伝えていく。歩行者は、未就学児童を中心に保育園や幼稚園で教室を行うという。

年代別では、65歳以上の高齢者の件数が136件と前年から43件増加。自治会などの会合で安全講話をするほか、巡回連絡などでも呼びかけ、発生件数を減らしていく。