東日本大震災から13年。今も神奈川県内で1200人以上が避難生活を続け、川崎市内には253世帯582人が避難中だ。3月10日には中原平和公園(中原区)で原発被害などを考えるイベント「原発ゼロへのカウントダウン㏌かわさき集会」が開かれ、被災者や法律家らが声を上げた。

今年で13回目となる「かわさき集会」には、「被災地を支援する宮前区民の会」や「フクシマを忘れない会」など市民団体のほか川崎医療生協など計24団体が参加。物販ブースや屋台など多様な形で原発の問題や防災の情報を発信していた。

イベントのメーンは、脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一弁護士と、福島県いわき市で被災し、現在は横浜市で避難生活を続ける鴨下美和さんの講演だった。

海渡弁護士は、福島第一原発の事故を巡り東京電力の株主が旧経営陣に賠償を求めた訴訟の原告側代理人を務めるなど、震災と原発事故対策に取り組む。

珠洲に原発計画

講演では、能登半島地震で深刻な被害を受けた石川県珠洲市で計画された巨大な原発施設の経緯を紹介し、「地震で4mも土地が隆起したエリアが予定地だった。建設されていたら地震で大破し、我々も無事ではなかった。地域住民の必死の抵抗が建設計画を食い止めたことに深く感謝したい」と、この国の原発行政の危険性を説いた。

一方の鴨下さんは、いわき市が国の避難指示区域に含まれない地域だったため、東電の補償対象となる区域内からの避難者と区別されて「自主避難者」と呼ばれ、補償はほとんど得られず、住宅支援も早期に打ち切られた。講演では「自主避難者」としての苦悩を切々と語り、「子どもを守りたい一心だったが、避難先を転々とし、今も『カネ目当てか』などと誹謗中傷も絶えない」と、厳しい現状を訴えた。

逆行する政府

復興庁の調査によれば、東日本大震災の被災地からの避難者は2月1日現在、全国に計約3万人、県内には1217人いるとされる。しかしこの数値は避難者自身が自治体に届け出た件数の集計であり、多くの避難者が何度も転居を余儀なくされてきたことなどから、実際はこの数値より多いと言われている。

海渡弁護士は「福島原発の事故でたくさんの人生と暮らしが奪われた。にもかかわらず政府は逆を行こうとしている。声を上げ続けなくては」と話している。