「10年後を見据えた大都市のあり方を考える〜今、必要な大都市の役割、制度とは」と題したシンポジウムが3月21日に川崎区内で行われた。

基調講演では東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出氏が登壇。人口減少が進む社会での自治体の方向性などを議論する、自治体戦略2040構想研究会が示す危機と対策に関し、「18歳人口がピークの半分となり、新卒を奪い合う時代。半数の職員でサービスを供給するスマート自治体への転換が必要」と指摘。今後は、自治体行政の大胆な変革と、公共私連携における若いローカルリーダーの必要性などを説いた。また、デジタル化を進める上では、職員がデジタルへのリテラシーを持ち、負担軽減につなげる業務改革と、市民との対面やリアルな場の活用も意識するべきだとした。

講演後のパネルディスカッションでは、衆議院議員の田中和徳氏、神戸市長の久元喜造氏、福田紀彦川崎市長が意見交換。福田市長は「人手不足による危機はすでに来ている」とした上で、大都市としての役割について「都道府県制度が支障となり課題が顕在化している事例が多い。指定都市制度の創設から68年が経ち、当時と今では状況が違う」とし、「特別市」への制度改革の必要性に言及。「一極集中ではなく、多極分散型が世界との競争力向上にもつながる」と強調した。久元氏は「大都市がリードし周辺の市町村を発展させる相互協力関係が必要」などと同調し、田中氏は「特別市への法制化には世論を醸成していく必要がある。全人口の3割が大都市である今、議論が求められる」と話した。