綾瀬市の古塩政由市長(72)は21日、本紙の取材に応じ、任期満了に伴い今年7月に実施される綾瀬市長選に出馬せず、今期限りで引退する意向を明らかにした。

この日午後に開かれた市議会3月定例会最終日の本会議では、自らが上程した2024年度の一般会計当初予算案が賛成多数で可決された。古塩氏は閉会後に開かれた市議会の全員協議会で引退の意向を伝えた。

本紙の取材に古塩氏は「7月の市長選には立候補せず、2期で終わりにする」と述べ、引退の理由について、今年5月で73歳を迎える自らの年齢をあげた。

古塩氏は「1977年に県庁に入り2006年3月31日で退職し、翌日には綾瀬市で教育長に就いた。県庁で29年勤め、綾瀬で18年、あわせて47年間、よくもったと思う。80代を元気に迎えるために自分をしっかりケアして、体もメンテナンスをしたい」と話した。さらに、「市長になるのは青天の霹靂だったが、なった以上は全力で全うしようとやってきた。しかし、それで燃え尽きてしまうのは本望ではない。自分の時間や家族との時間も欲しいと考えるようになった」と、胸の内を明かした。

古塩氏の歩み

古塩氏は1951年、綾瀬市吉岡の生まれ。県立厚木高校から上智大学を経て1977年に神奈川県長に入庁。29年間在籍した県庁では、教育委員会管理担当課長や介護国民健康保険課長、高齢福祉課長を歴任し、定年前の06年3月31日に退職した。翌4月1日には笠間城治郎元市長の元で綾瀬市教育長に就任。09年に副市長に就くと、副市長2期目の16年3月に市長選出馬を理由に辞職した。この時64歳だった。

当時3期目の笠間市長が引退を表明し、事実上の後継者として同年7月の市長選挙に初挑戦し、元市議との接戦を制して初当選を果たした。2020年の市長選挙は無投票で再選を果たし、現在2期目。24年7月24日の任期満了で退任する。

古塩市政では、工業の「ものづくりのまち」や農業の「菜速あやせコーン」、商業観光では「ロケ地」など産業面でのブランディングで数多くの実績を残した。同日に可決された新年度予算では、低所得世帯の中学3年生が塾で利用できる電子クーポンの支給や高校進学時の学用品購入費や通学費の補助など教育面での意向を強く反映させ、「集大成の予算だった」とも明かした。

7月7日の投開票で実施される同市長選には、元市議の笠間昇氏(52)と市議の橘川佳彦氏(53)が出馬を表明している(3月27日時点)。

古塩氏は、「今の市政を継承してくれる人に次の市長をやってもらうのが理想ではあるが後継指名はしない」と明言している。