銭湯が競技の力に――。来月行われる関東学生陸上競技大会(関東インカレ)で、10種目に及ぶ走る・跳ぶ・投げる競技の総合点を競う10種競技(男子1部)2連覇を目指す国士舘大学・陸上競技部(多摩市)の岡泰我さん(4年)が息抜きの場としているのが、町田市内唯一の銭湯である大蔵湯(木曽町)。身体を癒し落ち着く空間としてのほか、店主の土田太一さんとの「掛け合い」も競技に向かう「コンディションを整えてくれる」と岡さんは話している。

昨年、関東インカレの10種競技を初制覇した岡さん。日々、10種類にも及ぶ競技の練習を重ねるなか、身体と心を癒す場として大蔵湯に通い続けてきたという。練習で疲労した身体を温め、回復を図るのはもちろん、銭湯内に漂うひのきの香りがリラックスさせてくれるのだという。「大蔵湯の湯に浸る時間は1人になり、自分を見つめなおす時間になっている。疲れがある時だけでなく、試合の前日に立ち寄ることもありますね」と岡さんは話す。

掛け合いも

一方で、土田さんとの「掛け合い」も心の癒しにつながっている。岡さんが大蔵湯に来るたびに声をかけてくれ、日常の他愛のないことから、次の試合のことなどについて会話すると、アスリートとして普段、気を張っている部分が抜ける思いという。土田さんは「1人で抱え込んじゃうようで。岡さんは後輩たちのサポートもよくしてるけど、自分のケアも大事。ガス抜きしていい。がんばってばかりではだめだからね」と笑顔。岡さんは「自分は強がりな性格で、『俺は強い』って言ってるけど、気持ちが参っちゃうことがあって。とても助けられています」と微笑む。もうすぐ、2連覇をかけた試合――。木曽町でリフレッシュした心身をもって快挙に挑む。