看護の有資格者が任意で加入し、看護の場における量的、質的な環境づくりを支援する公益社団法人神奈川県看護協会。公衆衛生の向上と県民の健康保持、増進に寄与することも目的に活動する同会には9つの支部があり、相模原支部は相模原協同病院で看護部長を務める阿部徳子さんが支部長を務めている。

阿部支部長は看護師の仕事について、多くの患者を少ない時間で治療、検査する医師に対して「より患者さんに寄り添って支援するのが看護師」と役割を認識している。「いつまでも健康で住み慣れた地域で暮らしていくために健康推進や病気予防をサポートしていき、もしも疾患やケガになった場合は、患者さんとその家族の思いを確認しながら寄り添いサポートしなくてはならない」と話す。

そんな阿部支部長が看護師として普段から心掛けていることは「患者さんを知ろうとする」こと。糖尿病療養指導士でもある阿部支部長は糖尿病の患者と多く接する中で、特にそのように思うようになっていったと言う。「例えば糖尿病だからきっと不摂生してきたんだろうではなく、どうしてそうなってしまったのか、どうして生活が崩れてしまったのか、人を理解しないと問題点が見えてこない。つまり人を知ろうと思う心がとても大事」と念を押す。それこそが患者と良い関係を築くスタートになるという。互いに理解を深めて病気に向き合い、「頑張った結果、『(診断結果の)数値が良くなった』と患者さんから言われると、もちろんチーム医療なのですが、『看護の力』だってうれしくなり、やりがいを感じますね」と笑う。同僚の看護師にも「患者さんの良き理解者、相談相手でいてほしい」と伝えている。

支部長としては、新人ナースの教育などにも関わる。看護の業界も人手不足に頭を悩ませるが、「人に興味がある人、コミュニケーションを取ることが好きな人、気遣いができる人は看護師に向いていると思う」と話す。そして、自身は「周りのスタッフや患者さんに支えられて成長できた」と感謝を口にすると、「支部としては今後も看護職の処遇改善や要望などを働きかけていきたい」と話した。