小児がんで生存率30%と診断されながら、病を乗り越え元気に生活する男の子がいる。

男の子の名前は、菅原律人くん(5)=中央区松が丘在住=。20年8月に保育士から左頬の腫れを指摘され病院を受診し、横紋筋肉腫と診断された。

横紋筋肉腫とは、皮膚の下の筋肉など軟らかい組織で、本来骨格筋になる未熟な細胞から発生する腫瘍。県立こども医療センターによると、小児から若年成人の中で100万人当たり4〜5人程発症する稀な腫瘍とされている。

診断当時すでに顔半分に腫瘍が広がり、ステージ4。すぐに抗がん剤と放射線治療が始まった。

1年半の入院生活

「テレビで小児がんの子を見て遠い話だと思っていたが、自分事になるとは。選択を迫られる日々の中で、お医者さんの言うことに『はい』と言うしかなかった」と父・竜さん(40)は話す。

コロナ下の面会制限で、1日に会えるのは4時間。律人くんが1番辛かったことは「(面会の後)パパママがいなくなること」。治療の影響で口内炎が治らないことも、律人くんの笑顔を奪っていった。

さらに律人くんを苦しめたのは、入院中にお風呂に入れないこと。律人くんは「いい風呂の日(11月26日)」生まれで、竜さんは鵜野森の温浴施設「おふろの王様町田店」の店長と、お風呂に縁がある。入院中は「お風呂にいっぱい入ること」を目標に病気と闘った。

治療のため保育園は辞めたが、園の友人や先生からお見舞いの制作が届いた。周りの支えを受けながら、一昨年4月に退院。10月から再び当時とは別の保育園にも通い始めた。

「病気しても普通に生きられる」

現在は3カ月に一度、検査のため通院する。当時の治療の影響で風邪を引きやすく、鼻血が出やすいことはあるが、「ほかの子たちと何ら変わりない生活が送れています」と竜さんは話す。律人くんは、「好きな遊びは砂場あそび」とにっこり。昨年春からは水泳も習い始め、念願のお風呂にもたくさん入りにいっているとか。

竜さんは「病気をしても普通に生きているということを知ってもらえたら」と語った。