その一方で、マネジャーの管理職としての責任もますます増していくことが予想されます。かつては、部下の単純作業の管理監督をしていれば大丈夫という人もいましたが、単純作業そのものがどんどん減りますし、そのマネジメントもあまり付加価値につながりません。複雑化する経営環境下において、業務のマネジメント(アサインメントやPDCAの的確な実行など)、人のマネジメント(部下の動機づけや能力開発など)、チームのマネジメント(最適配置やコンフリクトの解消など)、部署の地位のマネジメント(周辺組織との調整、Win-Winの関係構築など)を的確にこなすことが求められます。

マネジャーが失う武器

加えて、組織の垣根が下がるとともにさまざまな働き方の人材が増えたことから、マネジャーには、自分の組織のマネジメントだけではなく、組織外、あるいは外部ネットワークの活用でリソースを補うといったことが求められるようになってきます。

つまり、自社の経営資源の制約を超えて、どんどん組織外の良質の経営資源を探し、それを活用することもマネジャーの仕事となってきたのです。自社の経営資源のみでイノベーションを起こしたり新しい価値を創造したりすることが難しくなる中、この流れは今後も加速する見込みです。

その一方で、マネジャーが失う「武器」もあります。DXが進み、さまざまなデータが一元化されて誰でも見られるようになり、また言語化されたノウハウなどが蓄積・可視化される結果、情報の非対称性が崩れるのです。つまり、これまでマネジャーの権威を支えていたパワーの源泉としての情報格差がなくなっていくのです。