好調な業績を背景に、CATLの2023年の営業キャッシュフローは928億3000万元(約1兆9179億円)のプラスとなり、手元資金は潤沢だ。同社は2023年の研究開発投資を前年の155億元(約3202億円)から184億元(約3802億円)に増やしたが、財務的にまだ余裕がある。

CATLトップの曽毓群氏は、EV市場の将来に楽観的な姿勢を示す。写真は2023年12月の部品サプライヤーとの会合で登壇した曽氏(同社ウェブサイトより)

注目されるのは、同社が2023年の株式配当を1株当たり0.35元(約7円、特別配当を含む)とし、前年の0.05元(約1円)から大幅に引き上げたことだ。配当の原資は220億6000万元(約4558億円)に上るが、長期的な成長投資と株主還元とのバランスをとる。

「クルマの電動化は止まらず」

足元では、欧米市場を中心にEVの販売の勢いが落ちている。それに関して、CATLの董事長兼総経理(会長兼社長)を務める曽毓群氏は決算説明会で、「ヨーロッパの一部の自動車メーカーに電動化投資の規模とスピードを調整する動きが見られるが、クルマの電動化の流れは止まらない」と述べ、将来に楽観的な姿勢を示した。

曽氏の見方によれば、上述の自動車メーカーの動きは強気すぎた投資計画の見直しであり、今後(のEVシフト)はより合理的なペースになる。その根拠について、曽氏は次のように説明した。

「EVが将来の(自動車の)主流になるのは間違いない。クルマのスマート化とともに、(自動運転システムや車内エンターテインメントなどの)車載機器の消費電力が増えていく。小容量のバッテリーしか搭載しないハイブリッド車では、このニーズを満たすのは難しい」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月16日

著者:財新 Biz&Tech