グーグルの大規模言語モデル「FLAN-T5」やアップルが独自に開発しており「AppleGPT」と呼ばれることもある「Ajax」という大規模言語モデルを試している痕跡もあるようだが、一方でアップルがOpenAIやグーグルと両社の大規模言語モデルの利用について話し合いを始めているとアメリカメディアは報じている。

ただ、高品質にこだわるアップルのこれまでの戦略や主張から考えると、同社がChatGPTのような対話をするためのアプリやサービスを提供するとは考えにくく、SiriSummarizerのようなすでにある情報の要約など嘘が生成されにくい堅実な形での活用にとどまるのではないかというのが筆者の見立てだ。

また、アップルはすでにプログラムコードの生成AIを試していることが知られており、Xcodeと呼ばれる同社の開発環境向けに生成AIを提供したり、マイクロソフトがそうしているようにワープロソフトのPagesや表計算ソフトのNumbers、プレゼンテーションソフトのKeynoteといった生産性ツールの機能として生成AIを組み込む可能性はあるのではないか。

より堅実なアプローチになる可能性大

いずれにせよアップルによる生成AIの活用は他社のそれと比べるとできることも少なく、より堅実な内容になるのではないかというのが筆者の見立てだが、この堅実さと、そこから生み出されるブランドへの信頼こそがアップルの人気の秘密とも言える。

実際、iPodやiPhone、iPadなども同時期に発売されていた他社の音楽プレーヤーやスマートフォン、タブレットと比べると派手な機能は少なかったが、それでも市場を席巻し大きなビジネス的成功を招いている。

もちろん、AI以外にも、さまざまな新たな事業の柱を模索するべく、映像コンテンツ制作や健康医療関連事業、アメリカで展開中のApple Cardなどの金融事業などさまざまな投資を行っている。

最近、同社の重役が積極的に謳っているのがゲーム関連の開発への投資で、2023年のWWDC(世界開発者会議)ではWindowsやゲーム専用機向けに開発済みのゲームを簡単にMacに移植するためのツールなどを提供している。