バイトダンスは2021年11月にグループの組織再編を実施した際、飛書を6大事業ユニットの1つとして位置づけ、TikTokなどと並ぶビジネスに育てる方針を示した。

大手ネット企業が不採算事業の見直しを進める中、飛書は岐路に立っている。写真は2023年3月のイベントでプレゼンテーションする飛書科技の謝欣CEO(同社ウェブサイトより)

だが、飛書の市場シェアは競合する釘釘や企業微信に大きく見劣りする。市場調査会社の2022年11月時点のデータによれば、釘釘の月間アクティブユーザー数(MAU)が2億5300万人、企業微信が同1億1000万人だったのに対し、飛書は同930万人にとどまっていた。

バイトダンスの立場で見れば、飛書に多大なリソースを投入し、組織規模も大きくなった割に、明確なリターンが得られていない状態と言える。

親会社の「輸血」頼みは限界

飛書のような企業向けSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の業界は、中国では2023年から低迷期に入っている。同年のSaaS関連の資金調達件数と調達総額は、2014年以降の最低水準に落ち込んだ。

ネット業界の巨大企業は(バイトダンスを含めて)手を広げすぎた事業の見直しを進めており、飛書はこれ以上、親会社からの(追加投資などの)「輸血」に頼れなくなっている。謝CEOは、社内メールの中で次のように強調した。

「今回の(人員カット実施という)調整の目的は、組織のダウンサイジングだけではない。重要なのはスタートアップ企業としての初心に立ち戻り、会社の方向性を明確にすることだ。プロダクトの競争力、とりわけAI(人工知能)関連の能力を磨き、より多くの顧客によりよいサービスを提供しなければならない」

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は3月26日

著者:財新 Biz&Tech