新たな国際秩序の構築は世界の合意事項だ。今、戦争などしている場合ではない。感染症、気候変動、生物多様性といった人類共通の課題に対し、イデオロギーや価値観の対立を避け、利害の相違を超えて、国際社会が協力して解決策を模索しなければならない。我々の眼前にあるのは「米中二極化」ではなく、グローバルサウスを含めた「全員参加型」の国際秩序である。

途上国が、欧米が主導する国際秩序のダブルスタンダードを見抜いたところから、「文明国」と「野蛮国」の立ち位置は逆転した。西郷が述べた「いつくしみ愛する心」を基に、地球全体が慈愛に満ちあふれるような「シン文明社会」を築かなければならない。

日本に求められるのは、何がなんでも欧米のような文明国でありたいという「万国公法」の呪縛から脱し、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」に新たな価値基軸を打ち立て、アップグレードさせていくことだ。

岸田首相が言うように、今は「人類史の次の時代を決定づける分かれ目」である。

著者:小原 泰