あるいは自ら起業して、新たな事業を始める人も多いだろう。つまり、定年後のセカンドキャリアに比較的スムーズに移行しやすく、社会からの支援の必要性が少ない層だ。

キャリアによる高齢者の分類 (画像:前田さん提供の資料をもとに東洋経済作成)

2つ目が「Ⅱ層」。定年を迎えた、いわゆる“普通”の元会社員や公務員である。この層の人たちは主に民間企業で定年まで勤め上げ、課長や部長として部署のマネジメント経験を持つ人も多い。

何か特別な専門スキルがあるというよりは、スキルや経験が広範囲にわたる「ジェネラリスト」の要素が強いと言える。

そして3つ目の「Ⅲ層」が、非正規雇用などで年金額も少なく、生計のために働かざるを得ない生活困窮者の層だ。

主にハローワークを通じて、なんとか仕事を確保し、生活を維持し続ける必要がある。

会社員時代の経験を活かしにくい

マッチング困難の問題を抱えているのは、2つ目のⅡ層シニアだ。

この層は人数的に最もボリュームが大きいにもかかわらず、そもそもⅡ層シニアを対象とした求人自体が乏しく、マッチングを支援する民間の派遣会社も少ない。

そこで、自らハローワークに出向いて求人を探す人が多いのだが、高齢者向けの求人は「軽作業、清掃、マンション・駐車場の管理、保安、送迎ドライバー」が大多数を占める。